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18. 感受 ページ18

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触れる手が温かい。

Aさんの手。
小さいのに、どこまでも温かくて優しい手。


『総ちゃん、貴方は自慢の弟よ』

あの時、俺の手から抜け落ちてしまった手。


今度は、絶対落としたくない。

ぎゅっと
俺の頬に添えられた手を握る。


俺は、Aさんに
いつもどこか姉上を重ねてみていた。

けどこれは、Aさんから出た言葉。

馬鹿だな、俺。

Aさんは、いつもAさんとして
俺と接してくれていたのに

彼女を勝手に姉上と重ねて

過去に執着するあまり
また一方的に壁を作っちまって

あの時で精算したはずだったことを
また繰り返している。


「Aさん‥‥」


“ん?”と首を傾げて
優しく微笑むAさんで
胸がいっぱいになる。

姉上のことは勿論今でも大好きだ。

けどこのAさんに向けた気持ちは
本当に姉上を重ねている『だけ』なのか?


旦那に、取られたくなかった

俺の知らないAさんの顔を
知られたくなかった

そんな気持ちと、どう向き合えばいいのか。


「…今、すごく
Aさんに触りたい」

気づけばそんなことを口走っていた。


「…っえ、え?なんでそうなったの?」

「俺が触れたら
Aさんは、どんな顔するんですか」


その頬に、
髪に、耳に、…唇に

俺が触れたなら。


白い肌が、桃色に染まっていく。

この色は、俺がつけたもの。


そう思うと、
欲望がみるみるそそり立つ。

もっと、触れたい。

もっと、
俺だけを見て。


「年上を、揶揄うんじゃないの…っ」

Aさんの
余裕のなさそうな顔


…ああ、旦那。

こんな顔を独り占めしたなんて
ずりぃですぜ。

Aさんの手を
逃がさないように捕まえて
もう一度自分の頬に触れさせる。

さっきの優しい触れ方と違って
所在なさげに動く指がくすぐったい。

「もっと
Aさんのこと、教えてくだせェ」


そういって、
彼女の手首へ口づけを落とした。

俺を映す瞳が揺れる。

そうだよ、
そうやって俺をみて。これからも。


Aさんを、
屯所に呼び込んだのは

俺なんだから。


「おきたく…」


震えるAさん。蒸気した頬が色っぽい。
それ、逆効果でィ。


「沖田くん…」
「なんですかィ」

「ッ…サド丸、みてる…」


見ると、すぐ足元で
俺たちを見つめていたサド丸が毛繕いを始める。

そういえばこの辺だったっけ。

「…ッチ。邪魔くせぇ」
「沖田くん!?」


.

19. サド丸→←17. 感受


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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟 , 恋愛   
作品ジャンル:アニメ
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みけ(プロフ) - 笛さん» 毎度ありがとうございます^^ 沖田くんメインで書いてるので、銀さんには少々我慢して頂いてますw (2021年2月19日 21時) (レス) id: 85e7eab2a4 (このIDを非表示/違反報告)
- 今回の更新最高です!!!銀さんがかわいそうな気がするけどwwww (2021年2月19日 20時) (レス) id: bff55455ee (このIDを非表示/違反報告)
みけ(プロフ) - 笛さん» ありがとうございますっ!お待たせしております。ただいま予定が立て込んでますゆえ、もう少々お待ちください…! (2021年2月10日 18時) (レス) id: 44e1804c7a (このIDを非表示/違反報告)
- 毎日寝る前に更新チェックしてます!!!! (2021年2月10日 1時) (レス) id: bff55455ee (このIDを非表示/違反報告)
みけ(プロフ) - 笛さん» コメントありがとうございます!わたしの文章でそう感じていただけることが幸の極みでございます…!精進いたします! (2021年2月7日 20時) (レス) id: 44e1804c7a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:人魚ちゃん | 作成日時:2019年2月14日 4時

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