２７,失敗 ページ30
「え、スプーンですよねー、味見」
「いや、洗い物大変だから指だよ嬢ちゃん」
「ですよねー、スプーンですよねー、まさか指で掬うわけないですよねー」
「嬢ちゃん聞いてる？指使って舐めなよ」
え、指先？、
え、え？じゃあ指を無一郎くんの口に突っ込むの？
は？
みるみる顔が赤くなる。
不意に振り向くと爆笑寸前の無一郎くんがいました。
「はぁ……」
店から離れて息をつく。
無一郎くんは未だに笑っていた。いや、笑うのを堪えてた。
「……仕返ししようと思ったの？」
「うん……じゃなくて違うってば！」
「そっかそっか、流石に指でアーンは出来ないね」
「うん……じゃなくてアーンする気もないってば！」
二人で人をかき分けながら進む。
「人多くなってきたね」
「そうですね…はぐれそう」
ポツリと漏らす。
「じゃあ手、繋ぐ？」
「うん…」
無一郎くんの指が私の手に絡まる。
……ん？
「今、私、なんて言いました？」
「え？『手、繋ぐ？』って訊いたら『うん』って」
「え？嘘、つい本音が……じゃなくて！」
「はいはい」
適当に宥められてしまった。呆れられたかな。
「……もうすぐ花火始まるね。見る場所探そうか」
私の手を引いて無一郎くんは人気のない方へ進む。
…綺麗な髪。ぼんやりとそんなことを考えながらついていったら、突然立ち止まった。
「無一郎くん？」
「Aって、簪もってたっけ？」
「一本、母の形見が」
「…そっか」
無一郎くんの視線の先を追うと、綺麗な櫛がたくさん並べられている屋台があった。
「ちょっと寄っていこう？」
「確かに無一郎くんの髪は綺麗ですが、女物の簪はちょっと…」
「なに馬鹿なこと言ってるの」
Aの分だって。君の髪、すごく綺麗なんだから生かさない手はないでしょ。
それだけ言うとスタスタ歩いて行ってしまう。
彼の横顔が赤いのは、屋台の提灯のせい？
思わず笑みが溢れる。
「……本日の目標、達成」
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三日月晩霞(プロフ) - わぁ過去最高１９６位！みなさん、ありがとうございます (2020年11月14日 21時) (
レス) id: a76c167dce (このIDを非表示/違反報告)
三日月雫 - ネタ提供ありがとうございます！輝夜さん、そのネタ、使わせていただきます！まさかここまで早くコメントしてくれるとは(泣)本当にありがとうございます！！ (2020年4月30日 8時) (レス) id: af5538bb52 (このIDを非表示/違反報告)
輝夜(プロフ) - いつも更新お疲れ様です！ 夢主ちゃんの口周りに食べ物(クリームとかご飯粒的な奴)がついていて、それを無一郎が取って、食べる。そして、美味しいと言って赤面させるというのはどうですか？ (2020年4月29日 22時) (レス) id: 4d34a234b5 (このIDを非表示/違反報告)
三日月雫 - 誰か、ネタを！お願いします！ (2020年4月29日 19時) (レス) id: af5538bb52 (このIDを非表示/違反報告)
三日月雫 - そんな事無いです……//今後も応援よろしくお願いします！ (2020年4月28日 11時) (レス) id: af5538bb52 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：猫毒 | 作成日時：2020年4月27日 20時
