無一郎君が酷いから酷くしてみた結果の研究レポート

1８，三毛猫さん ページ19

《Aside》

無一郎君が私に背を向けて読書を始める。

暇だから来たのに、やる事無さ過ぎて更に暇になった気が……


は！


忘れてた、無一郎君に私がチョロい女では無いという事を理解させる作戦の事！

これはもしかしてチャンス！？

チャンスだよね！？





これでこっちも無視し続ければ、簡単に手玉に取れないと思わせる事が出来る！

よし！

長期戦だ！


ー三十分経過ー

全ッ然話し掛けて来ないんですが！


ー一時間経過ー

なんか暇通り越して眠いわ……。

近くの柱(霞柱じゃないよ！)にもたれる。

……。

日が当たって良い気持ち……。

軽く目を閉じかけた時……。

ふと、足に違和感を感じて薄目を開けた。

視界に入ったのは白と茶と黒の毛の塊。

つまりは猫よ！

三毛猫さんが私に甘えてる訳！

『……可愛い！』

言ってしまってから、はっとする。

あちゃーーー

猫に夢中になるチョロい女にならない？この状況！

作戦、台無し……。

仕方無く、猫を抱き上げる。

三毛猫さんに罪は無いものね！

首を掻いてあげると気持ち良さそうに目を細める。

あーもう、可愛い過ぎるわ！

『ねぇ、この子、ウチで飼っていい？』

「は？」

『え、駄目？』

何その不機嫌極まり無い顔は。

『飼ってるの？』

「まさか」

何で、まさかなのか良く分から無い。

ねぇ、と、特に意味も無く三毛猫に視線を戻した時……。


フッ


『え？』

「……」

唐突に消えてしまった。

『……化け猫？』

「さぁ。血鬼術じゃない？」

『……え、私、また猫化する訳？』

なにそれ。

可愛いかったから抱き上げた訳なのに？

……めっちゃ理不尽。

『いやだよぉぉぉぉぉぉぉぉ』

「まぁそうはならないんじゃない？」

そう言って無一郎君は私の頭をぽんぽんして去って行った。

去ってくれて良かった……

赤面した顔見られたら何て言われるか分かんない……



その頃、愈四郎の血鬼術がちょっと破れてしまったのはまた別のお話し。

ついでに猫の現れた時の二人のイチャイチャぶりに愈四郎が「けしからん！」と顔を真っ赤にして羨ましそうに怒っていたのも別の話。

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