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♯29 ページ30

黒尾side


Aが悪いんだ。


仮にも付き合おう、と言った相手にあんな事言うなんて。



Aは驚いたように目を見開いてジッと俺を見つめる。


『どうしたんですか?黒尾先輩』

驚きはしているものの俺の事を警戒している様子はない。




危機感なさ過ぎ。



「Aさぁ、自分の置かれている状況、分かってる?」

『え?』

「男に押し倒されてるんだよ?

この状態で抵抗できる?」

『………抵抗する必要なんてありませんよね?』


………鈍すぎ。



素でそう言っているのだろう。



及川クン、絶対なんもしてないな。


キスしたのか?



そっとAの唇を触る。


Aはビクッと肩を揺らした。


「怯えてる………?」

『そういうわけでは………』


ツーっと唇をなぞる。


柔らかくて、気持ちいい。



「俺、本気でAの事好きだよ」

『え………?』


「俺とさ、付き合おうよ」

『………私はまだ徹先輩が好きなので、そんな気持ちのまま、誰かと付き合うなんてできません』


「Aがまだ及川クンの事好きでも俺は気にしないよ。


だって、俺、Aをホレさせる自信あるから」

『っ!』

「ねぇ、俺にしなよ。

悲しい恋は忘れよう?」


今にも唇が触れそうな距離まで顔を近付ける。


『わ、たしは………』


Aは目線を逸らす。



その仕草も愛しく思えて、俺はあと数センチの距離をゼロにした。



手で触った時とは違う、柔らかい感触。



唇を離すと、Aは俺を見つめて、固まってしまった。


「かわい………」


頬に手を伸ばし、触れる。


その瞬間(とき)


「何してるの………?」


ハッとしてドアを見ると及川クンがこっちを睨んでいた。


走って来たのだろう。


肩を上下させて呼吸をしている。


俺はAから離れる。


「見てたよ終始。

何してるの?」


「何ってキスだけど」


平然と答える俺に及川クンはイラッとした様子でつかみかかってくる。


「及川クンは別にAと付き合ってるわけじゃないんでしょ?

だったら、Aが誰とキスしようが関係なくない?」


グッと言葉に詰まる及川クン。


でもそれは本当に一瞬で。


「関係あるよ。


俺はAがまだ好きだから。


好きな人が誰かとキスなんてしたら、嫉妬ぐらいする」


………さりげなくコクりやがって。


「分かったよ。

とりあえず俺は体育館に戻るから」


俺はそれだけ言って、救護室をあとにした。

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naonao(プロフ) - あ、誤字ってた。とにかく尊い。二次元に行きたい。 (2021年10月16日 6時) (レス) @page18 id: d20e044f3d (このIDを非表示/違反報告)
シオン - 及川さんをさらに好きになってしまった私、 (2020年7月19日 12時) (レス) id: 8019d53cec (このIDを非表示/違反報告)
研ガースー - ( ^∀^)ヌァァアァァ!!!!!!!!皆かっこよすぎて貧血状態です( ;ii;)あとめっちゃ面白いです!!!頑張って下さい!応援してます(*´ω`*) (2018年9月8日 0時) (レス) id: 306d9c59e9 (このIDを非表示/違反報告)
にこり - やばい///////影山がドストレートすぎる (2018年8月20日 2時) (レス) id: f92f00bf1a (このIDを非表示/違反報告)
なんとかさん - あっ…及川さん最高(鼻血ドバー (2018年8月8日 23時) (レス) id: 932ae8584a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サクラ | 作成日時:2018年7月8日 21時

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