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○濁った水溜まり #tsmt ページ1
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ネオンの輝く、夜の名古屋の街。
絶えず人々の騒がしい声が聞こえる。
そんな中、私たちは街角の閑散としたところにいた。
と「A、ごめん。俺と別れてほしい」
「え、そんな......。どうして？」
大学の頃から付き合っていたとしみつに、
この思い出の街、名古屋でフラれてしまった。
と「Aのこと、好きだったよ」
としみつと出逢ったのは大学3年の夏。
友人と遊びに来たけど、その友人はチャラい男にナンパされてふらふらと行ってしまい、
私の周りには、誰もいなかった。
ついに私も、そこらにいた悪い輩に絡まれてしまった。
怖くて声なんて出たもんじゃない。
そんなとき、
「何やってるんすか」
救世主が現れた。
それがとしみつだったってわけで。
助けてくれた、恩人なんだ。
その優しさに惹かれ合い、私は去年付き合い始めた。
その間、たくさん好き合って楽しい日々を過ごし、日を追うごとに好きが増していった。
そんな日々も長くは続くわけもなくて、冒頭に至るというわけ。
と「本当にごめん」
そう言い私を抱きしめる。
きっとこれが、最後だろう。
たくさんの温もりを感じた。
としみつが離れて行ってしまう。
夏なのにも関わらずひどくひんやりと感じるのは、きっと愛する人が側からいなくなったからだろう。
雨が上がり、辺りには大きな水溜まり。
その水溜まりには、涙を流した私一人の姿しか映っていなかった。
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fin.
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作者名：Sakura. | 作成日時：2020年12月28日 15時
