♯8 ―star ページ8
50メートル走…。
懐かしい響きだった。
走るのが嫌いじゃない私は中学時代はちゃんと陸上部で走っていた。
100メートル走の選手だった。
地区大会で記録に乗ったこともある。
あのときは、嬉しかったなぁ…。
男子の陸上部員と走ったあのトラック…。
普通は女子は女子で走るのだが…私は孤立していた。
のってるつもりは全くなかったのだが「調子に乗ってる」というのが相手からの評価だったらしく、私は孤立していた。
まぁ、別に辛くなかったから私的にはスピードも速くてためになる練習だった気がしなくもないのだが…。
でも、最近走ってないから遅くなっただろうな。
まぁ、自業自得だから文句は言わねぇけど。
「次、女子やるぞ。」
私の前の女子生徒がスタンバイする。
そして、先生の合図で走り出した。
次は私の番だった。
「湖山さんよ。」「速いんでしょ?一緒に走りたくないよぉ。」
「普通のタイムでも遅く感じちゃうよね。」「あ、それヤダぁ。」
「なんだ、湖山1人か?」
「1人でいいっすよ。」
これなら、男子に混ざって走ったほうがマシだろうに。
私は前の人が記録を書き終えたりするまでの間に
無意識に、準備運動をしていた。
と言っても軽い準備運動だ。
「よし、んじゃ行くぞ湖山。
位置について――――。」
私はスタートラインに立つ。
敵とかライバルとかいないのに気が引き締まった。
ほんの少し緊張する。
「―――用意…。」
私は右足を引いた。
…スパイクとかで走りたかったな。
「どんっ!」
私は引いた右足で地面をける。
最初は遅いがスピードが出ると髪が風で舞い踊る。
心が軽くなるような気持ちのいい風。依存しそうだ…。
走るのが好きで笑みがこぼれそうになったが
ふくれっ面に見える折木の顔が視界に入り笑いはおさまった。
「湖山、7.0。」
ストップウォッチ片手に私のタイムを言う走り終えた生徒。
7.0か…。0・1ほど遅くなったなぁ…。
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龍(プロフ) - ちゃめさん» 『ちゃめ』さん、コメント&応援ありがとうございます☆ (2012年9月2日 19時) (レス) id: ea0f0213a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リュウ | 作成日時:2012年9月2日 1時