【氷菓】季節外れの新入部員 (ページ3)

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♯３　　－spade ページ3

「でも、どうして古典部に？」

千反田が湖山に尋ねた。

「先生にヒマそうな部活ないか？ってきいたら古典部だって言われてな…。」

「ヒ…ヒマ…。」

千反田が今日持ってきた差し入れであるケーキを湖山の前に置きながら言った。
ヒマと言われたことが結構ショックだったみたいだ。

目の輝きが失せ始めている。

「あー、でも文集は売れてたよな。」

湖山が思いだすように言った。
まいどありっす。

「文集、買ってくださったんですか！？」

千反田が湖山に顔を近づける。
湖山はびっくりしたようだがすぐに元の顔に戻った。

「買った。買った買った。」

追い払うような仕草で湖山はいう。

「面白かった？」

里志が気軽に聞く。
湖山は千反田が落ち着いてから

「あぁ、興味深い内容だった。」

意外と好評価らしいな…。それは嬉しいことだ。
しかし、クラスメートが客だったとは意外だな。
…あれ？

「湖山、ここまで買いに来たっけか？」

顔を覚えていない気がするのだが…。

「失礼な奴だ。
　来ただろ？値切ったじゃねぇかよ。」
「あぁ。いたな。」
「思いだしたみたいだね。」

里志、俺は年寄りじゃないからそんな目で見るな。

「湖山さんって、折木と同じクラスよね？仲いいの？」
「話したのは文集買いに来たのが初めてだ。」
「…そう。」

伊原が呆れている。
俺は基本休み時間は机で寝てるんだ。
話しかけてくる奴なんてあんまりいないだけだ。
ましてや、席が近いわけでもない。
俺が一番窓際の列だが湖山は中央の列だ。
更に俺が一番後ろの席で湖山は中央だ。
教室のど真ん中に座ってるのが湖山だ。