【氷菓】季節外れの新入部員 (ページ14)

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♯１４　―spade ページ14

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男子の持久走は時間の関係で次回となった。

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「なぁ、一つ聞いていいか？」

放課後の地学準備室で俺は同じ部活に属するクラスメイトに前置きをした。

「何だ？」と、俺の前に座り答えた。

俺は少し間を開けて言った。

「何で、陸上をやめちまったんだ？」

俺を含めてこの地学準備室には５人。
部長が首を傾げた。

「折木さん？急にどうしたんですか？」
「全く、いつもだけどいつも以上におかしいわよ、折木。」

酷い言われようだ。

事情を知ってる里志が助け船を出す。

「ほら、あんだけ陸上競技できるのにおかしいじゃないか。」
「星蘭…だったか？その人も陸上選手だろ？」

高校生だけどね、と湖山が呟く。

「言ったはずだ。
　『飽きた』んだよ。私は飽きっぽいんだ。」

湖山は足を組んでそう言った。
そこで口を開いたのが千反田だ。

「あの、湖山さんがどうして陸上の経験者だと？」
「そういう話をしたんだ。」
「現に陸上部が欲しがってる人材さ。さっきこの部屋の前に居たよ。」

里志がそういうと湖山は腕を組み、俯いた。

「私を求める陸上部…か。
　その陸上部に言っといてくれ。私はもう選手としてフィールドには上がらねぇ。」

その目は濁りのない澄み切った瞳だった。