検索窓
今日:12 hit、昨日:23 hit、合計:198,478 hit

42話 ページ42

「鬼を人間に戻す方法なんて知るか!」

森の中で、木の幹を背に追い詰められた鬼はその言葉を最後に、頭と体が離れ灰となっていく。

もう、鎹鴉からの指令は今日のを含めて八件。

まだ俺は異能を持つという鬼との遭遇はなく、怪我も大してしていない。

放っておけば治るようなものばかりだ。

異能というのは、”血鬼術”という特殊な術を使う鬼の事を言うらしい。

冨岡さんの元へ行く前に、鱗滝さんが教えてくれた。

俺が倒している鬼は、藤襲山に居た鬼と大差ない。

だから、今のままでも対峙できている。

でもこの先、ずっとこんな状態が続くということはきっとない。

いつかは異能の鬼と対峙する日が来る。

その前に何とかして自分に力をつけなければならないのに…。

「どうすればいいんだ…」

不意に言葉が口を吐いた。

毎日走りこんだり、素振りをしたり、腹筋をしたり。

狭霧山に居た時とできるだけ同じことをしようと心がけている。

けど近くに山がない冨岡さんの屋敷周辺ではなかなか”同等”の鍛錬もできない。

「帰ろう…」

何も考えないよう、自分に言い聞かせるように言葉を吐く。

鬼が灰となって消えた場所をずっと眺めているわけにもいかない。

そう思い来た道を戻ろうとした時だった。

「伝令!伝令!花之森A!”奈落山”ニ鬼ヲ確認!現在、鬼滅隊隊員五名派遣サレタシ!至急至急!」

その声に俺は体をひねり方向転換する。

奈落山、罪人を収容するための山。

一度そこへと収容されれば、当たり前のように送っていた生活を送ることもできず、
地を這いつくばるようにして生きていかなければならない。

地獄のような底なし沼のようなその場所を、誰が初めに皮肉ったのか
奈落の底、”奈落山”と呼ぶようになった。

43話→←41話



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (107 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
214人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 夢小説 , 男主
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:矢月 | 作成日時:2020年2月15日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。