18話 ページ18
鱗滝さんに助けを求めると、彼は急いで炭治郎の容態を確認し、「すぐに戻る」と言って家を出て行った。
そして自分の背に禰豆子を診てくれた医者を背負い、戻って来てすぐに炭治郎を見てくれるように頼んでくれた。
彼は左肩と、左太ももに裂傷が見られた。
刃物のついた罠にかかってしまったのだろうと、冷静にいう鱗滝さんに怒りすら覚える。
意識がないのは、罠に引っかかり、傷を負ったという心理的負荷が呼吸を乱し、空気をうまく吸い込めなかったからではないかという診断を受けた。
出血量は多くはないが、栄養のあるものをたくさん食べさせて、安静にさせてくださいと念をおされ、お医者先生はまた鱗滝さんに背負われて帰っていった。
「どうして刃物なんか…」
炭治郎は起きる気配がなく、俺と鱗滝さんは二人きりで夕食を食べることになったが、ものを作る気力がなく、目の前にあるのは米と汁、それと少量の漬物。
鱗滝さんは手を合わせると、ゆっくりと食事を取り始めるが、俺は食べる気がせず正座した足の上に手をのっけていたが、俺がぼそりと呟くと、彼が茶碗と箸を置くのが音で分かる。
「鬼殺隊へ入るには、”最終選別”というものに参加せねばならん。そこで七日を生き残る。
そうすれば晴れて鬼殺隊への入隊が認められる」
それは初耳だった。
鍛えられたからと言って、すぐに鬼殺隊になれるわけではないのか。
「儂は”育手”だ、文字通り剣士を育てる。育手は山程いてそれぞれの場所、それぞれのやり方で剣士を育てている」
鬼殺隊に入るためには”藤襲山”で行われる”最終選別”で生き残らなければならない。
”最終選別”を受けていいかどうかは、儂が決める、彼はそういった。
そしてこんな事も言っていた。
「なぜ刃物を使うか、教えてやろう。鬼の爪は刃物より鋭い、刃物ごときに屈する様では鬼殺隊に入るどころか選別でふるいにかけられ、あっけなく散っていく」
そうかもしれないけど…、ここで死んだら元も子もない。
「ふるいにかかる、すなわち炭治郎の”死”」
……死?
俺は頭を強く打たれたかの衝撃が走った。
死ぬ?炭治郎が死ぬ?
ずきずきと脳みそが破裂しそうなほど痛みだし、目の前がくらくらした。
炭治郎の家族が殺されていた時のように、お堂で3人が殺されていたように炭治郎が、死ぬ…。
脳裏に蘇る光景に、吐き気を覚え、口を手で覆った。
その日、俺は炭治郎の手を握ったまま、眠ることができなかった。
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作者名:矢月 | 作成日時:2020年2月15日 13時