【鬼滅の刃】日溜まりは堕ちた【男主】 (ページ15)

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１５話ページ15

あれから2週間が経った。

炭治郎は鍛錬に明け暮れ、鱗滝さんもそれに付き添う毎日。

禰豆子といえば、俺達がこの家に来た日からずっと眠っている。

何故起きないのかわからない。

飯も食べないが、痩せる事もなく、苦しむような事もない。

鱗滝さんが医者を呼んでくれたが、特に異常もなく本当にただ眠っているだけだと言われた。

それから炭治郎は、毎朝禰豆子に話しかけてから出かけて行くようになった。

見習うように、俺も出かける前に禰豆子に話しかける。

「行ってくるな」

そっと頭を撫で家を出た。今日も俺は釣りに行く。
軒先に置いている竹の籠を脇に抱え、鱗滝さんが貸してくれた竿を担ぎ山を登る。

とても急斜面の多い山だった。俺達が住んでいる山も、急な所が多かったがこの山はさらに多い。

炭治郎が言っていたのだが、この山は酸素が薄いらしい。上に行くにつれて息が絶え絶えになる。一週間も家にこもっていたせいかと思っていたが、彼の言葉で、息苦しい理由を理解する。

こんな所を走って登って走って下りて、罠まで仕掛けてあると言うのだから恐ろしい。

二週間も登っていれば多少体が順応してくるもので、息切れが多少和らいできた気がする。

ようやく釣り場につくと、いつも座っている大岩に行こうとして足が止まった。

誰かがそこに腰を下ろし、石を川に向かって投げている。

そこに座っていたのは少年のようだった。自分と同じくらいだろうか。珍しい髪色に、狐の面をつけ、白い羽織を纏っている。

３週間ここに通っているが見かけたのは今日が初めてだ。

ここら辺に住んでいる子供かな？鱗滝さんからは誰かが住んでいるとは聞いていないが…、迷い込んだというわけではなさそうで、いたって落ち着ている様子だった。

俺が考えている間も、少年は手元にある石を次々と放り投げていく。

大岩の近くにまで歩み寄って、俺は声をかけた。

だが少年はこちらに気付いていないのか、単純に無視を決め込んでいるのか反応はなく、俺は岩を登り、横に腰掛け更に声をかけながら肩に手をぽんと乗せると、少年は岩から落ちそうなほど体をのけぞらせてこちらに振り向いた。

「……俺が、見えるのか？」

……は？

俺はその言葉にあっけにとられて、ぽかーんと口をあけたまま、首を傾げたのだった。