11話 ページ11
刀なんて持った事がないし、人に向けたことなんて当たり前の事だがない。
だけどこれは人間じゃない鬼だ。そう何度も唱え脳天に斬りかかろうとしたその時
「A!禰豆子を!禰豆子を頼む!!」
炭治郎と視線が合う。「早く行ってくれ!」そういう目だった。
俺は禰豆子を探した。すると山の中へと入りこんでいく彼女と胴体を見つけそちらに走る。
ようやく追いつこうとすると、彼女は突然立ち止まりこちらに振り返った。
すると彼女の抵抗もむなしく鬼はを乱暴に蹴り始める。
禰豆子が別の何かになってしまった。
鬼は怖い。人を喰うと炭治郎は言っていた、それにさっき貪っているのも見た。首を切っても死なないから、鬼が生きていたらたくさんの人がそいつらに食い散らかされる。
「嫁入り前の娘に何しやがんだぁあ!!」
彼女と手を繋いだ時とても温かかった。その時彼女はとても喜んでいたし、炭治郎を助けるために飛び出していって、今も戦っている。殴られても蹴られて、怯みさえもしない。
俺は持っている脇差を鬼の背中に突き立てた。
ぐさりと刺さる感覚に全身に寒気が走る。人を刺す感覚がこれほど気分が悪いだなんて思ってもみなかった。
鬼は一瞬動きをとめたが、次には体を乱暴に振り回し、俺はその腕に殴られると地面に叩きつけられる。
痛みで呼吸がうまくできない。
鬼は俺には興味がないようでまた禰豆子を足蹴にし始め、今度はその足にしがみつくがそれも振りほどかれると、俺は禰豆子に覆いかぶさった。
「やめろぉ!!」
そんな声がして、体に受けていた衝撃がなくなる。顔を上げると、炭治郎と鬼が逆さまになり体が投げ出されるのが見えた。この先は空が広がっている、禰豆子が立ち止まったのには理由がある、それはその先が崖だからだ。
「炭治郎!!」
手を伸ばすとその手は彼の手をつかみ損ねた。
しまった!
そう思ったが、後ろから腕が伸びてくるとその手が炭治郎の腕をしっかりと掴んだ。
その手を掴んだのは禰豆子だった。彼女はあっさりと炭治郎を片手で引き上げ、地面に下ろす。
「ありがとう、禰豆子…」
鬼は崖からそのまま落ちて行った。鈍い音が聞こえた気がしたが下を覗く勇気がない。へたりと地面に座っていると体に衝撃が走った。
「A!大丈夫か?!頭から血がでてる」
蹴られている時、ガリという音も聞こえていたからその時爪か何かが引っかかったんだろう。彼に肩を借りて立ち上がると、来た道を戻り始めたのだった。
214人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:矢月 | 作成日時:2020年2月15日 13時