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7話 ページ7

そうこうしているうちに雪の降っていた空は青空に変わり、そして赤く染まった。

「狭霧山に行くなら、あの山は越えなきゃならないけど…、もう日が暮れるのにそんな大荷物背負っていくのかい?」

一つ目の山の麓にようやく辿りついた頃、子供を連れた女性を見つけて狭霧山へはこの道で合っているかと聞いた。

どうやらあっているようだ。

「十分気を付けます、ありがとうございました」

炭治郎がぺこっと頭を下げるのを見て、俺も頭を下げる。

女性の言う通り、もう夜はそこまできている。

まだ真っ暗というわけではないけど、もうだいぶ薄暗くなっていて、明かりも持っていない俺たちは、この薄暗い中を歩かないといけない事になる。

”夜までには帰ってこい”

そんなばあちゃんの声がどこからともなく聞こえた気がして、体が震えた。

鬼が出たらどうしよう…っていうかそもそも鬼って何なんだ…。

そんなのが本当にいるのか?

見たことがないから、どんな見た目をしているのかさっぱり見当がつかないし。人間とか、動物みたいな姿だったりしたら判別なんて不可能だ。かといって得体のしれない物体だったらそれはそれで…。

そんな風に考えていると突然炭治郎に声をかけられて、地面に向けられていた視線を上げる。

「怖いのか?」

炭治郎は昔から鼻がよくて、人の感情を匂いでかぎ分けることができる。

俺が動揺しているのをそれでわかったのかもしれない。

一緒に行きたいと言っておきながら、怯えてるとか世話が焼けるとしか言いようがない。

「ほら」

すっと炭治郎がこちらに手を差し伸べてくる。

「羽織握ってるより、安心すると思うぞ」

その言葉に、俺は自分の手を見た。

すると俺はいつの間にか彼の羽織をぎゅっと掴んでいて。その手を急いで離す

匂いとかそんなの関係なかった、俺がつかんでたから普通に気づいてたんだ。

一体いつから掴んでた?

恥ずかしい…

すごく恥ずかしいぞ…穴があったら入りたい…。

恥ずかしさのあまり頭を下げて熱くなる顔を見せないようにしていると、手を柔らかく握られた。

「来てくれて嬉しかったよ、俺も、少し心細かったから」

そう言いながら笑顔を見せる炭治郎は、俺の手を引きながらゆっくりと歩き出した。

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作者名:矢月 | 作成日時:2020年2月15日 13時

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