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31話 ページ31

炭治郎が起きる前に、鱗滝さんに見送られ家を後にした。

その時、厄徐の面という狐を模された物を渡され、それを首元にかける。

この面は悪いことから守ってくれるらしい。

それは錆兎や真菰がつけていたものによく似ていた。


ようやく藤襲山へ入山すると、藤の花がたくさん咲いていて、一面美しいうす紫に染め上げられている。

石段を見つけ、それを登って行き、着いた場所には、すでに20名ほどが集まり、その真ん中には綺麗な着物を着飾った二人の可愛らしい子が立っていた。

皆緊張しているのか顔がこわばっていて、話しかけれるような雰囲気ではない。

それはそうだ…ここで選別が行われるのだから、生きるか死ぬかの場所で、ふわふわとした会話をしている方がおかしいだろう。

隅の方で暫く待っていると、真ん中に居た二人が突然話し始めた。

「皆さま、今宵は最終選別にお集まりくださってありがとうございます。この藤襲山には鬼殺の剣士様方が生け捕りにした鬼が閉じ込めてあり、外に出ることはできません」

「山の麓から中腹にかけて鬼どもの嫌う藤の花が一年中狂い咲いているからでございます」

しかしここから先には藤の花は咲いておらず、鬼がいる。

その中で七日間生き残るというのが最終選別の合格条件。

「では、行ってらっしゃいませ」

二人がぺこりとお辞儀をすると、周りに居た皆が一斉に山を登り始める。

こんなにあっさり始まるのかと、拍子抜けにも似た感覚に襲われながらも、遅れをとらぬよう、皆の後を追った。

少し進み、人気もなくなったところで木へと登り、辺りの気配を探る。

俺は炭治郎のように鼻がいいわけではない。

だから、相手の居場所などは目視、もしくは物音などで察知しなければならないため、見晴らしの良さそうな木を選んだ。

辺りを見回していると、遠くの方から叫び声が聞こえ急いで向かう。

すると三匹もの鬼が一人の少年を取り囲み、木を背にする彼へじりじりと追い詰めている。

「た、助けてくれ!」

俺に気付いた少年が助けを求める声とほぼ同時に、ふわりと飛び上がり、刀を抜く。

両手を交差させるように構えた。

水の呼吸… 壱ノ型 水面切り

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作者名:矢月 | 作成日時:2020年2月15日 13時

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