22話 ページ22
鱗滝さんから、稽古をつけてもらえるように話がついた後、炭治郎の帰りを待ち、それを伝えた。
「だ、ダメだ!ダメだA!君はここで待っててくれ!必ず俺が禰豆子を人間に戻すし、Aの事も守れるようになるから!!」
居間に座り話し込んでいたが、彼は身を乗り出して俺の肩につかみかかる。
禰豆子を人間に戻そうとしていたのか、俺は初めてそこで彼の真意を知った。
ここに来るまで、着た後、なんだかんだでゆっくりと話す時間もなかったから仕方がないかもしれないが…。
「禰豆子をどうやって人間に戻す?戻し方を知ってるのか?」
「あ…、それは…それはこれから…」
どもっている炭治郎の次の言葉を待った。
暫く床に視線を落とし、俺の肩から手を離すと座っていた位置に座りなおすが、視線は床を見たままで。
「鬼が、知ってるかもしれないって、言われたんだ」
誰に言われたか知らないが、お堂で見たような鬼がおいそれ教えてくれるとは思えない。
話をする前に襲われるのが関の山。
というか、鬼に治し方を聞いたところで本当に知っているのか?
でも、その方法を聞いて、彼が信じているのなら、俺も同じことをするしかない。
鱗滝さんに聞いたが、鬼は日の光に弱い。そして特殊な刀で首を落とさないと死なないらしい。
鬼になった禰豆子は、日の元には出れないのだと言われて、籠の中に入っていた理由や、鬼が燃えるように消滅した理由も納得がいった。
未だに下を向いている炭治郎の手を取って、顔を上げさせる。
その赤く美しい瞳をじっと見つめた。
俺を守るとか、そういうのはどうでもいいから、炭治郎は禰豆子の事だけ考えたらいい。
俺もできるだけ力になるから。
にこりと笑って見せると、彼は目を見開き、何故か大粒の涙をぼろぼろと流し始めたのだった。
そして、翌日から地獄のような訓練が始まる。
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作者名:矢月 | 作成日時:2020年2月15日 13時