予期せぬ再会1 ページ10
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会議が長引き、少し休憩時間を設ける事になった。机回りを軽く片してから、飲み物をのみに休憩ペースのソファに深く腰かけた。
『はぁ…疲れた…』
「お疲れ様です、南波さん」
『あ、降谷さんでしたっけ?お疲れ様です』
「此方にお勤めだったんですね」
『ええ、まさか風見さんの代理が降谷さんとは思わなかったです。正直驚きましたよ』
「僕も今朝出勤したら急遽、風見の代理で行ってくれと言われたんです。資料を見たら会議参加者欄に南波さんの名前があって驚きました」
『急遽呼び出しされるなんて災難でしたね』
「そんな事ありませんよ。会議も有意義なものでしたし」
『そう言って頂いて、嬉しく思います』
「再会の記念としては何ですが、今度食事にでも行きませんか?こうしてまた会えたのも何かの縁かと思いますし」
『え?……、ええ…構いませんけど』
コーヒーを飲みながら一息ついていると、彼が話しかけて来た。自分の事情を知っている人なので、あまり関わりを持ちたくなかったが、社交辞令的な会話を行う。
すると、何を思ったのか彼が自分を食事に誘ってきたのだ。あまりにもストレートな誘いに思わず行くと言ってしまった。行くと言ったことを後悔してしまうが今更もう遅い。
「これ、僕の連絡先です」
『ありがとうございます。少し待ってください………これ私の連絡先です』
「わざわざありがとうございます。夜にまた連絡します」
色々考えている時に彼が電話番号、メールアドレス、LineのIDを書いた名刺を手渡してきた。数字とアルファベットしか並んでいないが、字が綺麗であることが伺える。
そしてよく見ると長身、褐色肌、明るい髪の毛、整った目鼻立ち、グレーのスーツがよく似合っている。女性が放っておかないだろうなと素直に感じた。
自分も連絡先を記した名刺を手渡した時に、中野に呼ばれた彼は夜連絡すると残して、中野の元へ行ってしまった。手に持っていた名刺に目を落としてボーッとしながら見つめていた。
(まぁ、旦那じゃあるまいし、食事に行くくらい、いいよね)
どのくらい時間が経ったかわからないが、後輩に呼ばれて会議室に戻り会議を再開した。
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作者名:ゆきだるま | 作成日時:2018年5月26日 8時