待ち合わせ1 ページ28
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-降谷零 side-
昨日、珍しく酔っていたこともあり起きる時間が遅くなってしまった。シャワーを浴びずに寝てしまったため、起き上がるなりシャワーを浴びて朝食の準備に取り掛かる。今日は久しぶりにジムに行って体を動かそうかと、朝食を食べながら考えていた。
朝食を終え、スマホをチェックしていたら、メールボックス内に《南波倭》の名前があった。慌ててメールを開けば、連絡が遅れた事への謝罪と訳、離婚が決まったことなど近況報告の内容だった。
メールが来た事やその訳に安堵しているのが自分でもわかる。連絡が遅れた訳は松田の言っていた後者の意見だった。長文のメールの後には、直接会いお礼と報告したいとの一文もあった。自分も会いたい気持ちがあったため、次の約束について記したメールを送る。
その後メールのやり取りをして、明日の日曜日に時間がとれると言うことで待ち合わせて会うことになった。
次の日、待ち合わせの場所に車で向かった。近くのパーキングに車を止めて、知り合いが経営するカフェに入り軽く挨拶をする。待ち合わせていることを告げて、案内された席について店長と会話を楽しむ。
待ち合わせ時間になると声をかけられた。
『降谷さん、ですよね』
「南波さん、こんにちは」
『もう南波じゃなくて、旧姓の中西に戻りました』
「あ、そっか、すみません…」
『気にしないでください。それと連絡が遅くなってすみませんでした』
「いえ、僕こそ無理を言ったみたいで…連絡もらえて良かったです」
『そう言えばここは…』
「知り合いが経営しているjazz喫茶なんですよ。ここの店長jazzが好きで、中西さんもjazzが好きって言ってたから待ち合わせにぴったりかなって」
『Jazz好きってこと覚えてたんですか?』
「もちろん。凄く楽しそうに話してたのが印象的だったから」
『嬉しいです。それとこの曲、学生時代練習してたんですよ』
少しでも楽しませたいという思いから、jazz喫茶で待ち合わせをしたらやはり興味を示した。
「お姉さん、これ弾けるの?」
『はい、たぶん』
「ならピアノあるから弾いてみる?」
『え?』
「聞かせてよ、今ピアノ準備するから」
今かかっている曲が弾けることを話していたら、とても嬉しそうに店長が話しかけてきた。戸惑う姿に思わず笑った時に、倭が助けを求めるようにこちらを見てくる。
「僕も聞きたい」
『ふ、降谷さん!』
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作者名:ゆきだるま | 作成日時:2018年5月26日 8時