1通のメール1 ページ26
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-降谷零 side-
金曜日、珍しく自分から松田に飲み屋に行こうと誘ってみる。松田も珍しさから何かを察したらしく付き合ってやると言われた。
「おーい、降谷。待たせたな」
「いや、大丈夫だ」
仕事終わりエントランスホールで待っていたら、松田に話しかけられる。すぐ行けるとの事だったので近くの居酒屋に入った。
「にしても降谷から誘われるなんて珍しいから驚いたぜ。何かあったのか？」
「別に。飲みたい気分だっただけだ」
「ふーん。俺はてっきり女関係じゃねぇかって睨んでたけど？」
「……」
「図星？」
「うるさい」
「で？誰なんだよ？」
「………四ヶ月くらい前、二人で飲んでる時にお前の隣に座ってた人だ。覚えてないと思うが」
「知らねぇ。それでナンパしたってわけか」
「違う」
なかなか話が進まず面倒くさそうにしながら、居酒屋で出会った人が風見の代理で参加した会議でプロジェクトリーダーを務めていたこと、その後食事に誘った事、結婚はしているが旦那が浮気をしていて離婚を考えていた事、帰りたくないと言った倭を自宅に泊めた事等を話した。
「落ち着いたら連絡欲しいって伝えて、別れてから三ヶ月以上経ったが連絡はない」
「つまりはそういう事だろ。寂しい時にタイミング良く表れた降谷で寂しさ埋めて、寂しさが埋まったからもう用済みってな」
「だよな」
連絡がない時点で、松田の言葉通りだと薄々感じていたが何処かで否定していた自分がいた。しかし、松田の言葉で確信した。
つまりはそういう事だと。
「どこが良かったんだ？美人だったのか？」
「……惹かれたんだよ。居酒屋で初めて会った彼女は結婚してるけど旦那に浮気されてた。浮気されてるなら手を出してもいいかもって思ったけど、連絡先は知らない。二度と会うことはないだろうって思ってたのに会議のときに再会した」
「チャラそうに見えて意外とピュアだな、降谷って」
「なんだよチャラそう…って」
「まぁ、離婚協議中だろうし、下手に連絡取れねぇってのもあるだろ」
「そうだな」
「こんな事で悩むなんてらしくねぇな」
「勝手に言ってろ」
「今日は俺が奢ってやるから、気にせず飲め」
「ああ」
松田が言った後者の意見に賭けながらその日は時間を忘れて飲んだ。普段いくら飲んでも酔わないが、今日は少しだけ酔いが回ってる気がする。
松田と別れ自宅に戻ると、メールの着信に気づくが、そのまま眠ってしまった。
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作者名：ゆきだるま | 作成日時：2018年5月26日 8時
