彼女の誘惑1 ページ18
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-降谷零 side-
旦那の浮気が発覚しても、笑顔でいた倭を無理しなくてもいいと抱き留めていたら、暫くの間自分の胸で泣き、落ち着いたら自分から離れていった。
心配から大丈夫かと問うと《大丈夫》というが、その後の言葉が驚いた。家に帰りたくないから一人で飲みに行くというのだ。流石にこの時間から一人で飲むのは危険だし、倭は拒否していたが自分が心配でだったので泣かば無理矢理付いていくことにした。
一軒目では軽くしか飲んでいなかったのに、浮気発覚後寄った二軒目ではビールや梅酒等のお酒をかなり早いペースで飲んでいた。アルコールが体の中に入る度に饒舌になっていくのがわかる。そんな倭が自分の結婚の話をしてきた。
『──────よーく見極めなきゃダメですよ。私みたいにバツついちゃう』
「大丈夫ですよ、ちゃんと見極めますよ」
その言葉を聞いて、離婚を決意したことがわかる。
『降谷さん』
「何ですか?」
『今日だけ…朝まで一緒にいてくれませんか?…もう降谷さんに迷惑かけませんから』
自分の返事を聞いてから暫く沈黙が続き、自分の手の指を握りながら口を開いたと思ったら自分を誘うような事を言ってきた。そして、もう二度と会わないようなことも言ってくる。
その言葉に少し驚き目を見開きながら内心ため息をつく。こんな状態で体の関係にもつれ込んでしまえば、後悔するのは倭自身だ。それにそんなことで関係が切れてしまうのも嫌だった。
肯定も否定もせずに言葉を返す。
「場所を変えましょうか。家に案内します」
『はい』
迷わず返事するのを確認してから、立ち上がれば会計を済ませて自宅へと向かう。結構飲んでいるはずの倭だったが、足取りはしっかりしている。お酒はかなり強いようだ。
腕時計を確認すると終電に間に合うようだったので、駅に行き終電に乗り込み空いている席に座った。
「明日の予定は?」
『特にありません。あるといえば、荷造りですかね。とりあえず、暫くは実家で生活しようとおもうので』
「そうですか。ならゆっくりしていってくださいね」
『ありがとうございます、迷惑かけてすみません』
「迷惑だなんて思ってませんから」
倭に視線を向けると申し訳なさそうに、でも安心したような表情になったのを見た。
それから暫く電車に揺られ家の最寄り駅へ付けば電車を降りて自宅へ向かった。
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作者名:ゆきだるま | 作成日時:2018年5月26日 8時