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笑顔 ページ14

¯


-降谷零 side

当日、終業間際に仕事のトラブルがあり仕事が思いの外長引いてしまった。こう言うときに限って仕事が終わらず溜め息か漏れた。仕事が終れば待ち合わせの場所に向かう。

急いで電車に乗り込み待ち合わせ場所に向かえば、駅前のベンチに座り待っている倭を見つけた。遅れた事に対し謝罪してから、予約していたお店に向かった。



駅から歩いてすぐのところで、お店に入るなり先に案内してもらう。飲み物や食べ物を注文して乾杯をした。


「急なお誘いなのに、ありがとう御座います」

『いえ、いい気分転換になりますし』

「今日の会議、風見行きましたか?」

『はい。会議は有意義な物でした。けど、風見さんの第一印象はちょっと怖い人でした』

「ははっ、風見らしい。誤解されやすい性格なんですよ、あまり笑わなくて、無愛想だし。けど、仕事に対しては人一倍真面目でああ見えて優しい一面も持ってるんです。今回のプロジェクトが終わるまで最後まで付き合ってあげてください」

『もちろんです!変な意味で言ったわけではなくて…!人一倍真面目な方っていうのは今日の仕事でもわかりました。優しいところも。今日の会議で上から痛いところを突かれまして、でも風見さんがフォローしてくれたんです。そこで印象は変わりました』

「そうですか。それはよかったです」

『風見さんは、降谷さんの後輩…とかなんですか?』

「そんなところです。風見の方が年上ですけどね」


倭と会話を楽しみながら、あえて旦那の話はしなかった。《いい気分転換になりますし》その言葉から今の状況を物語っていると感じたからだ。
倭から話を切り出してきた時は別だが、それまでは旦那の話題は出さないつもりだ。そんな辛い思いをする話題より、倭が楽しめる会話がしたかった。それこそ良い気分転換だろう。


『降谷さんは休日何してるんですか?』

「僕ですか?休日は殆ど趣味に時間を費やしてます」

『どんな趣味ですか?』

「そうですね…ギター、ドライブ、ボクシング、テニス、料理とか。多すぎて時間足りません」

『へえ、多趣味とかすごい!』

「多くても困りものです。南波さんの趣味は?」

『今は聞くことがメインですけど、ジャズピアノとか弾くことが好きです』

「ジャズピアノ良いですね。僕も色気のあるジャズピアノ好きですよ」

『あ、わかりますか?』


趣味の話題を持ち出すと倭の笑顔になった。


(この笑顔が見たかったんだ)

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作者名:ゆきだるま | 作成日時:2018年5月26日 8時

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