29話 ページ29
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浜中「んで最近どうなん？」
律儀に約束を守り食堂に来た私にこうやって抽象的な質問を投げかけてくるのは毎回のことなわけだけど、本当にやめてほしい。
「最近どう、とは」
浜中「東京慣れた？」
「もう3年ですよ。毎年聞かないでください」
定期的に聞かれるけど。毎回慣れたって伝えてるよな？私。
浜中「はー後輩を気遣う先輩の心遣いをそうやって無下にするんやなお前は」
「めんどくさ…」
浜中「聞こえてるでボソッと言うても」
「地獄耳ですね」
浜中「俺は最近自炊を始めたんやけど〜、」
「結局は自分が喋りたかっただけですね？」
浜中「なんや自分のためだけに飯作るとか虚しくならん？作るのにかかる時間と食べる時間に差がありすぎんねん。労力と消費が比例せえへん」
「まあ確かに作る相手がいるほうが作り甲斐はありますよね」
浜中「そうやねん、俺の作ったものを美味しい言うて食べてくれる可愛い子がおったらなあ、毎日作ろうと思えるんやけど」
「彼女、相変わらずいないんですか？」
関西支社から東京支社に移る時に、長く付き合っていた彼女とは破局したと聞いている。
それから浮いた噂はひとつも聞いたことがない。
浜中「できへん。そういうAはどうやねん」
「いません」
私に関しては学生の頃以来いない。
浜中「せやけどAは自炊するよなあ」
最近は食べてくれる人ができましたからね。
なんてそんな浜中さんを煽るようなことは言わないけど。
…いや、重岡は恋人でもなんでもないし煽りとかにはならないか。
「別に作るの嫌いじゃないので」
浜中「どっかに俺の料理を美味しい美味しい言うて食べてくれる女の子か、料理好きな女の子おらんかな〜。A以外で」
「はは、私も浜中さんはお断りなのでちょうど良いですね」
めちゃくちゃに当たりが強いけどこれもいつものこと。
心を許しているからこそできる毒舌。
浜中「はは、ほんならまた適当に飯誘うわ」
襟にご飯粒をつけたままいなくなった浜中さんの背中を見ながら思う。
「パートの女子社員たちにあの米粒バカにされるんやろなあ」
我ながら性格の悪い女だ。
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ひのりーる(プロフ) - 藤井みるくさん» 感想いただきありがとうございます！まだまだ続きますので最後までお付き合い頂けたら嬉しいです！ (2020年6月20日 22時) (
レス) id: 334deb90dd (このIDを非表示/違反報告)
藤井みるく - この小説とても面白いです！こうしんがんばってください(*´ω｀*) (2020年6月20日 14時) (レス) id: caf5bdba53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひのりーる
| 作成日時：2020年6月8日 22時
