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彼女はどこか冷たい部分を持っている以外にも、予想外の特徴をいくつか持っていた。
例えば、可愛らしい今時な見た目に反して、最近の流行りはあまり知らないこと。
「龍斗くんって私が部屋に入ってくるときいつもイヤホンつけてる気がする」
「そりゃあ、Aが来るまで音楽聴いてるから」
「なんか、そういうの今時だねえ。いつも何聴いてるの？」
俺は彼女の問いに対して、一緒に仕事をしていた仲間たちの間で流行っていたバンドやK-POPグループの名前をいくつか挙げた、が、彼女は一つもそれらがわからなかった。
知らない、それ高校生の間で流行ってるの？と彼女は聞いてきた。
けれど、俺が挙げたのはどれもこれも有名な名前だし、大学生の奴も皆こぞって聴いてる曲だ。
まさか彼女が知らない理由が世代間(と言ってもたった3歳差だが)ギャップであるはずがない。
俺はこの時点で、彼女は流行に疎いのだということを確信した。
「じゃあ、Aはいつもどんな曲聴いてるの？」
「……えーと、その、あんまり音楽とか聞かないから分かんないや」
「……Aって好きな芸能人とかいないの？」
「うーん、AKBは小学生の頃好きだった、かなあ？」
彼女はそう言うと少し恥ずかしそうに、そして困ったように首を傾げた。
流行に疎い、というか、テレビネットetcに興味がない、の方が正しいのかもしれない。
その代わりに、高校までに学ぶ科目は勿論のこと、思想や文学、政治、経済等あらゆる学問に精通していた。
専攻は教育学のはずなのに。
不思議に思い、その理由を聞いてみたら、本や新聞を毎日読み、朝起きたらニュースを見るようにしてるからかなあと、やっぱりふんわりとした笑顔で当たり前のように答えたから、流石、元「神童」は伊達じゃないと思った。
その一方で俺のつまらない冗談にも笑ったり、時に窓の外の鳥の鳴き声に本気で驚いたりと、子どもじみたところもあるから不思議だった。
そして、
「龍斗くん、ってさあ」
「うん？」
「……いや、なんでもない。なんか、知ってる人に似てるかもって思っただけ」
たまに、含みのあるようなことを言う。
彼女には俺の知らない一面があるのだという事実を、鮮明に突きつけてくるから、そういう瞬間が嫌いだった。
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れお(プロフ) - あさん» 初めまして。コメントありがとうございます。例の件に触れているため、あまり読んでもらえないだろうと思っていたのですが、そんな風に言っていただけて本当に嬉しいです。これからもゆっくりですが更新していきますので、よろしくお願いいたします。 (2020年8月28日 0時) (
レス) id: 8293f3a179 (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - 初めまして、コメント失礼致します。例の件について触れている事で低評価を押されている方がいらっしゃるのかもしれませんが、とても素敵で面白い作品でした。ありがとうございます。 (2020年8月27日 20時) (レス) id: 7cf7088bde (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れお | 作成日時：2020年6月18日 15時
