海賊少女は鈍感さん？ (ページ45)

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第41話ページ45

テヨン…君はまたすごい事聞くね…。これはハク玉砕√確定でしょ…。

ヨナ「………………たぶん」

お姫さんの呟きに、思わず吹き出した。可笑しかったのは、この二人も同じだったようで。
テウとヘンデが扉を思い切り開けて叫びながら入ってきた。

貴女「ぶっ…ww たぶんだって……お姫さん正直すぎ…ww あー腹痛い…」
テウ「そんな…愛人とか恋人とかは無理にしても…」
ヘン「たぶん友達って視界にも入ってねーッス。あわれハク様、超片想い…」

ハク「目ん玉ほじくったろか」

ちょうどいいタイミングというか何というか、ご本人が登場してしまった。しかもお姫さんがうっかり小声で従者とか言うもんだから、ハクがその口を塞いで、ここでのお姫さんの設定を説明しているようだ。

「城の見習い女官リナ」、これで行くらしい。
何ともベタな設定だと思ったが、ハクののーみそでは仕方ない…ってハク無言で頭グリグリしないで？

やや一悶着ありながら、テヨンが質問を投げかけてきた。

テヨ「なぁ、リナ、銀髪の姉ちゃん、兄ちゃんは城ではどんな人なの? 俺が3歳のときに兄ちゃんは将軍になってお姫様を守ってたから、俺、兄ちゃんの事はあんまり知らねーんだ」

テヨンが3歳の時、か。
この小さな体でどれほど、孤独や寂しさを背負ってきたのだろう。
そりゃ、長年会っていない兄と再会できれば気になるよな。ここはビシッと、ハクの格好いいエピソードを語っちゃって、お姫さん！

ヨナ「……城でのハク…は…」

すごい考えるなー。あれ、もしかして無い感じ？

ヨナ「無礼者…あ、イヤ、無神経…えと、態度でかい……あ、ううん、可愛くない…」
ハク「よーしわかったもういい」

あたしはまた堪えきれずに爆笑してしまった。そりゃこんなゴリゴリの軍人、可愛くないわー。

みんなで耐えきれず大笑いする。お姫さんはやっぱり面白い。

部屋中に温かい笑みが溢れる。それが連鎖になったのだろうか、お姫さんがちいさな微笑みを浮かべた。

やっと、笑った。

あたしはそれが何より、誰より嬉しかった。

だから、もっと笑ってほしい。
あなたのことを、全力で守り抜くから…あなたは安心して暮らしてほしい。できれば穏やかに。

だけどあたしは、この長い旅であなたが無茶をしない筈がないと思ったから。

それならあたしは最期の一瞬まであなたの側で生きよう。命に代えても償いを果たす。あなたを守る。

……たとえ、もう二度とあの人に会えなくても。