海賊少女は鈍感さん？

第1話 ページ2

地の部族、阿波の町。

悪徳領主と闘うため、港に留まる海賊船。


あたしはその船唯一の女海賊でー、

今日は晴天、朝日を浴びて、きらきらと満ち引きを繰り返す海を見ながらー。

気持ちよく1日が始まる……


はずなのに！！！

貴女「ジェハ兄ーーー！！ 起きろーー！」
ジェハ「ン…もう少し寝かせて？ A…」

どうして変態寝坊助龍の世話から始まるワケ！？



あたしは思い切りため息をついた。
もうみんな起きてるのにコイツはっ…


貴女「だーめ。あんたが一番遅いんだから、メシの後片付けは自分でやって」

ジェハ「………」


ジェハ兄は何も言わずに寝返りをうつ。

え、これ絶対起きてるよな？
殺意が湧くよ全く…毎日毎日毎日っ！


ジェハ兄はあたし達海賊の中でも断トツに強い。

だけどー。

断トツで寝起きが悪い。毎日あたしがわざわざ起こしに行くハメになるもんだから正直嫌い。

貴女「ジェハ兄…いい加減起きないと手が出んぞ…」

そう前置きして殴りかかると、こちらも見ずにあたしの腕を掴んだ。

そして次の言葉を紡ぐ間もなくー。





ぐいっと、引き寄せられた。


顔と顔とが急に接近する。

ジェハ兄の整った顔が、ちょっと垂れた瞳が、まっすぐあたしを見つめてきて。


あたしはフリーズしてしまった。


ようやく、我に返って声を絞り出す。

貴女「え…と？ ジェハ兄？ 何」
ジェハ「A…こっちおいで…？」


ドキン。

心臓が、跳ねる。



……なんだ、これ？

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