旅装/2 ページ8
「待って！A姉様！」
被せるように、二つの声が続く。
「マリーゴールド様！」
「サンダーソニア様まで！」
さらに続く通りから、炎と若草の色の髪を揺らして、二人の姫が歩いてくる。
――マリーゴールドとサンダーソニアだ。
サンダーソニアのほうは、煌びやかな
「マリー！ソニア！やっと見つけたのじゃな！」
「ごめんなさい姉様、でもほら！」
「……うむ、ようやった。A、此方へ！」
呼ばれるがまま、Aはハンコックに歩み寄る。
マーガレットたちも、それを目で追う。
ハンコックと向かい合ったA。
「ソニア」
「ええ」
サンダーソニアは持っていた大きな箱を、ハンコックの前に下ろす。
その隣から、マリーゴールドが手を伸ばし、その蓋を開く。
「……あ」
その途端、離れた場所に立つマーガレットにも分かるほど、爽やかで強い匂いが立った。
「……！
海の匂いだ……」
箱の中にハンコックが手を伸ばし、中に入ったモノを思い切り引っ張り出した。
バサッ、と音を立てて、
――海に似た輝きが、Aの視界を奪った。
――思いつく限りの『青』が過ぎ去った時、Aの前には、見事な青鱗のマントを抱えた妹達が、誇らしげに此方を見て立っていた。
「どうじゃ、“姉様”。綺麗であろう？」
「ええ……、とっても綺麗」
まだ惚けたような目で、Aはそう賛辞を呈した。
「姉様とわたしたちが初めてとった、カームベルトに住まう、幻の『青龍』の鱗で作ったマントです」
「水を弾いて水に浮く、海の加護を宿しています、姉様どうか御無事で」
二人の妹がそう続ければ、ハンコックは自分より少し背の低い“姉”にマントをつけた。
そしてそのまま、その手に細い組紐をむすぶ。
「これは……」
「少し不恰好じゃが、わらわが編んだ。
――わらわが“真紅”。マリーが“炎”。ソニアが“若草”。そう、そなたは昔申しておった」
組紐は、その三色で編まれていた。
「これで、少しは旅先でも、わらわたちを思い出せ！よいな！」
むすっと膨れたハンコックはふいっとそのまま顔を横に向けた。
((蛇姫様……かわいい……))
「ええ、ええ。そうするわね。うん。……ありがとう」
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文詩歌(プロフ) - LUNAさん» LUNAさん、ありがとうございます。そう思っていただけてとても嬉しく思います。とても登場人物が多いストーリですが様々な視点から見たルバードをみて、この子はきっとこんな子だ。と空想していただければ幸いです。改めまして素敵なコメントありがとうございました！ (2018年5月7日 14時) (
レス) id: 9d0cde6ce6 (このIDを非表示/違反報告)
LUNA - とても惹き付けられる作品です！表現力などもわかりやすくて、それでいて綺麗に書かれているので読む側も楽しくなります！更新楽しみにしています！ (2018年5月6日 16時) (レス) id: 7bea6976a0 (このIDを非表示/違反報告)
文詩歌(プロフ) - ぺりりーむ( ☆ω☆)さん» コメントありがとうございます、べりりーむさん。文を書く時なるだけ綺麗な文を心がけているのでそう言っていただけてとても嬉しいです。スローに進むストーリーですが、お付き合いいただければ幸いです(^-^) (2018年4月2日 19時) (レス) id: 9d0cde6ce6 (このIDを非表示/違反報告)
ぺりりーむ( ☆ω☆)(プロフ) - コメント失礼致します。とても美しい文章に心を打たれました。付け加えて、イラストのほうも素晴らしいと思いました。これからの展開を心より楽しみにしております。更新頑張ってください(^^) (2018年4月2日 0時) (レス) id: d67a92b6a5 (このIDを非表示/違反報告)
文詩歌(プロフ) - Siyuroさん» siyuroさん、そう言っていただけて感無量です……。時折、挿絵を混ぜたり、新しいオリキャラを作った際は目次のページの下の方にキャラの紹介イラストも足していくのでどうぞよろしくお願いします！これからも本作をよろしくお願いします (2018年3月7日 0時) (レス) id: 9d0cde6ce6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：文詩歌 | 作成日時：2018年3月6日 18時
