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「…んっ、」
おでこにひんやりとする感覚があって、意識がはっきりしてきた。
「ぁ、起こした?」
ごめんごめん、なんて言いながらも全然申し訳なさそうじゃないカイトを睨めば、おぉ、こわっ、なんて言って笑われた。
「…お前のせいだからな、」
「いや、まさか熱あるなんて思わなかったんだもん。…まぁ、俺もギリギリだったし、おあいこ的な?」
たはっ、なんて変な声で笑うカイトに思わずため息をつく。
でも俺が居るのはベッドで、ここまでカイトが運んでくれたんだなぁ、なんて少し申し訳なさも生まれてきて。
「…どこも“あいこ”じゃないだろ、」
なんて悪態は、彼に聞こえないくらい小さな声で。
「ぁ、そうだ…海斗、薬は?…もう飲んでないの?」
「…ぁ、そこの棚の中、……って、…ぇ、」
俺が薬を飲んでいるって、なんで知っているんだろう。
「…ふはっ、……おっけ、水取ってくるわ、」
何事も無かったかのように寝室を出ていくカイトを目で追う。
“俺は、新型ロボットの、“カイト”って言うんだ”
彼の言葉を思い出して、はっ、と小さく息を呑む。
もしかして、彼は、本当に。
ロボット、なのかも知れない。
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作者名:紗彩 | 作成日時:2022年9月9日 18時