メスガキ後輩と保護者ポジ ページ3
布団に寝かされたデンジせんぱい。
安らかな寝顔はどこか幸せそうで、むにゃむにゃと寝言を言いながら酷い寝相で眠っている。
顔にはうっすら血の跡がこびり付いていて、まあ、端的に言うとわたしのむねを触った直後に鼻血を吹き出しながらぶっ倒れたのだ。
しんじられない。
アキせんぱいから「女慣れしていないから」と注意するように言われたから、やりすぎない程度にアピールしようと思ってたのに、想像以上にデンジせんぱいはチョロかったらしい。
わたしはデンジせんぱいの寝顔を横目に、正座のままかれこれ30分ほどアキせんぱいのお叱りを受けていた。
「………はぁ。鬼桜、お前にとってはなんでもないような事でもな、こいつにはそうじゃないから気をつけろって言ったよな？」
「…はぁい」
ため息ばかりで呆れ顔のアキせんぱい。
こうなることをどこか予感していたようで、マキマさんに“お願い”された時から反対はしていたらしい。
まぁあの人にお願いされて断れるオトコなんていないんだけどね。
現にわたしはデンジせんぱいとバディを組まされ、開始数分で失敗しちゃったわけで。
うーんこれ、わたし悪くない気がしてきたなぁ。
「ねぇアキせんぱい」
わたしが問いかけるとせんぱいは渋々といった感じで返事をする。
「なんだ鬼桜」
せんぱいと目が合って、わたしはにっこり笑顔を作る。
嫌な予感がする、とアキせんぱいの顔に書かれている。
わたしはどんどん笑みを深くする。
それに比例するようにせんぱいの顔はどんどん険しくなる。
「せんぱい、怒るのなんていやでしょお？それよりもっと、きもちぃことだけしよう、ね？」
言いながら立ち上がって…足がちょっと痺れてるからか、体がぐらりと揺れる、が意地で踏ん張りアキせんぱいに近寄る。
「…ｯ」
アキせんぱいが1歩後ずさる。
わたしは2歩踏み込む。
「ねぇねぇせんぱい。ちゅぅ、していいですよ？」
わたしはいつもみたいに笑う。
せんぱいは眉をひそめたままこちらを見ている。
「ね、誰も悪くいわないよ？わたしだって、悪意があったわけじゃないんだもん」
だから…
そう言って、ここ、とでも言うように唇に人差し指を添える。
つん、と軽くとがらせて、上目遣いで見つめれば、アキせんぱいは分かりやすくうぐ、と詰まる。
アキせんぱいがマキマさんのことだいすきなのはしってる。
しってるけど、別に一途である必要なんてないじゃん。
オトコノコって、そういうの好き、でしょ？
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作者名：胡蝶蘭 | 作成日時：2023年1月2日 7時
