血界戦線×鋼の錬金術師 ページ1
序列をつけるとしたら、「お父さま」が一番、「お兄さまがた」と「お姉さま」が二番、人柱たちが三番で、僕はきっとその次か、そのまた次くらいだろう。
「石」を貯めるだけの倉庫のようなもの。
ついでに倉庫に錬金術を使えるようにしただけのもの。
一番上のお兄さまから言わせてみれば、僕なんて居てもいなくてもいい存在らしい。
うるさい。
僕はただ、家族のためになら、知らない国の知らないニンゲンを石にできるくらい、君らのことを思ってたんだ。
でも、そんなことは意味なんてなかったんだな。
この「トラブル」は僕の故意じゃないけれど、少し有難いとさえ思ったよ。
バイバイ。僕の家族。
―――
HLの街を覆うきりにフッと穴が開き、鈍い、いやな音と共にコンクリートの道路めがけて何かが落下してきた。
あたりは騒然となり、一体何が落ちてきたのか、と野次馬が土煙の中を覗き込む。
見たくもない真っ赤な体液があちらこちらにべっとりと付き、中身のようなものまで散らばっている。
これはもう助かってねえよ、、と誰かが言った。
(飛行機事故化なんかだったのか⋯⋯⋯それにしてもついてないな。こんな事故に立ち会っちゃうなんて、、)
ピザ屋の配達人として、偶然その事故を目撃してしまったレオナルド・ウォッチは、はやく配達の仕事を済ませてしまおう。と二輪のハンドルを握りなおし、別の道から目的地へ向かおうと事故現場に背を向けた。
と、そのとき。
レオナルドの背後、つまり事故現場の方から放電でもしているかのような、バチバチバチという轟音が鳴り響いた。
「うわあああ！！？」
赤い閃光がはしり、轟音がなり、おさまっていた土煙が再び舞い上がり、強風にあおられ、こけた。
「イテテ、何だったんだ。いったい、、」
突風が吹き、煙が飛ばされていく。
レオナルドが風に反応し、目を閉じ、もう一度開けるとそこには、黒い髪をした青年がいた。
(え、、、)
レオナルドは一瞬ぽかんとした。
このHLに突如降ってきたものが化け物や怪物ではなく、普通の青年だったことがひどく意外だったからだ。
しかし、その認識は間違いであったと気が付く。
レオナルドはその影のオーラを見て、体が震えた。
その普通の青年から出ていたオーラは、絵の具をぐちゃぐちゃに混ぜて、人の形に無理やりしたような、ものだったのだ。
しかもオーラは、溶けて形が保てなくなった人の形をしているようにも見えた。
(この人は、、いったい何者なんだ⋯⋯⋯)
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作者名：NavaFungi | 作成日時：2021年10月20日 1時
