貴方でした4（赤） (ページ10)

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大倉くんの声は電話越しでも分かるくらい
悩んで悩んで心配している声だった。

「今日、すばるくん何時終わりかな…」

大『多分もう今日は帰ってると思う。
　反省しろって帰されたとか言うてた。』

「私が行って、今更何ができるかわからないけど…
　私これから行ってくる…！
　すばるくんに会いたい。」

大『うん…うん。そうしたって。
　 Aちゃん？』

「ん？なぁに？」

大『Aちゃんはええ女やで。
　俺が保証する。
　すばるくんを助けたって。』

「…うん。頑張ってくるね。」

そう言って私は走り出した。

久々にくるすばるくん家のエントランス。

どうしよう。今更緊張してきた。

震えるてで、すばるくんの部屋番を押す。

呼び出し音が鳴る中、私は気付いたら全身震えてた。

最初に逃げたのは私。
今更彼は私を受け入れてくれるのだろうか。

ピッと言う機械音と共に、扉が開く。

特にすばるくんの声は聞こえなかった。
開いたって事は入っていいんだよね…？

そのままエレベーターに乗り、すばるくんの部屋まで行く。

コツコツコツ…

私のヒールの音が廊下に響き渡る。

ピンポーン…

相変わらず震える指でインターホンを押す。

少し時間が空いたからガチャっと鍵が開く音が聞こえた。

扉は開かない。

私は恐る恐る扉を開く。

リビングに少し灯りが見えるだけ。

久々の廊下にはダンボールが何個か積み重なっていた。

「おじゃまします…」

私はそっとリビングに向かう。

広いリビングのソファに小さくなって寝転ぶすばるくんがいた。

久々のすばるくん。

実際会っても痩せているのが分かる。

「久しぶり…」

す『何しに来たん？』

私の言葉に被せるように刺々しい声が返ってきた。

「あの…」

す『別れの言葉でも言いに来たん？』

「ちが」

す『こんなしょうもないやつ嫌やろ？当たり前やんな？』

私を見ずに言葉をつらつら続けるすばるくん。

フードで表情も見えない。

す『ろくに仕事も出来ひん。クソみたいやもんな。
　惚れた女も追いかけられへん。ヘタレ。
　わざわざ会いに来なくても良かったのに。
　もう俺ら終わりやろ。分かってるで。なぁ』

今度は私がすばるくんが話し終わる前に、
すばるくんに抱きついた。

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