貴方でした（赤） (ページ44)

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ーSubaru sideー

俺は、Aの手を、ヤスや運転手に
見えないところでぎゅっと手を握った。

Aはビクッと驚いていたが、

すぐにぎゅっと握り返してきた。

やっぱ手は震えていた。

コイツ、弱いところ、人に見せられへんのか…。

それから俺の家に着いてからは、
Aも普通になり、ヤスと楽しそうに話してた。

ヤス『しぶやん家なんか落ち着くなぁー。』

「本当ですねー。まったりしちゃうー。」

ヤスは俺のカメのクッションでくつろぎ

Aはその横で、猫のように丸くなっている

なんやこの2人、仲良しか。

「あ、すばるさん！そこのレコード見てもいい？」

す『ん、ええよ。』

Aは洋楽のレコードを楽しそうに眺めている。

安『Aちゃん、洋楽とか好きなんー？』

「はい！洋楽好きで…。古いのも新しいのも！」

「あ！レコードじゃないけど、
オリーマーズのアルバムだ！！
すばるさん好きなんですかー？」

す『気になって買うたんやけど、
ちゃんと聴けてへんわぁ。』

「そうなんですかー？このtroublemakerの
アコースティックバージョンとか
かっこいいですよ。」

す『じゃぁお前、歌ってーや。
そのギター使ってええから。』

「え？CD掛ければよくないですか？」

す『ええやん。お前の歌で聴きたいわ。』

安『え！Aちゃん、ギター弾けるん？
わー！俺も聴きたい！！』

「えー、プロの方に聴かせられるほど
上手くないですよ？」

安『そんなん、関係ないよ！お願い！』

「じゃぁ、間違えても笑わないで下さいね？」

それからAは夜中だからと控えめに
ギターを弾いて、歌を歌った。

1週間ぶりに聴いたAの歌も、やっぱり上手くて

何か心を動かされるものがあった。

その証拠にヤスも、笑顔で聴き始めてたのに

終わる頃には真剣な顔で聴いていた。

安『Aちゃん、めちゃくちゃ上手いな…。
あかん、俺めちゃめちゃギター弾きたくなった。
ちょ、今日帰ってもええかな？』

あ、なんか降りてきたのかな。ヤス…。

Aは突然の事でぽかんとしている。

す『ほな、タクシー呼ぶわ。』

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