貴方でした（赤） (ページ22)

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「どうしてここに…。」

す『それはこっちの台詞や。
俺の行きつけの店に、なんで自分おんねん。』

確かに。店長との会話の感じ、
常連さんだよな。

「ひとみとあの後家で飲んで、さっきまで
近くのカフェでランチしてたんです。
それでたまたま寄って…。」

す『とか言って、お前ホンマは俺のファンで
俺のストーカーやろ？』

「あ、それは絶対ないです。
大倉くん大好きでもそこまで
したことないですもん。」

す『…即答か。そもそも大倉ちゃうし。』

店『すばる、知り合いなの？
この子欲しがってるのに、お前買うの？これ。
さすがにスタイルよくても
これは似合わないと思うぞ？』

す『ちゃうわ！なんで俺が女物を着なあかんねん！
その子に買ってやるんや。その赤いセーターも。』

店私『「えっ！」』

す『さっきからお前らハモりすぎやろ。』

店『すばる、新しい女の子の口説き方か？
物で釣るなんて、どこの社長だよ！』

「そうですよ、すばる！
私こう見えても大倉ファン歴長いんです！
一途なんで中々なびかないですよ？
そもそもそんなすばるファンの人に
申し訳なさすぎる！」

す『おい、いつの間にすばる呼びや。
店長も俺そんな物で釣ろうとしてへんわ！
これはその…昨日の詫びや。』

「私、すば…間違えた。
渋谷さんに昨日何もされてないです。
大倉くんとりょうちゃんの事も
傷ついたと言えば傷ついたけど、
テレビの人だって割り切ってるし
もう気にしてないですよ。」

「それに、昨日も言いましたけど
渋谷さんに昨日会えて、話せて
幸せでしたよ？」

す『ええから、黙って買ってもらえや。
それにお前、昨日太ももも中々やと思ったけど
胸もデカイやん。…似合ってたで、それ。』

「…似合ってるは嬉しいですけど…」

店『それ完全にセクハラだよ。アウトーだよ…。』

す『なんでお前らそんな息合っとんねん…』

私達の買う買わないの言い合いは暫く続いた。

店『じゃぁ、分かった。
その子もすばるになんか買ってあげれば
いいんじゃない？再会のプレゼントとして。
そしたら君も申し訳なさ半減じゃない？』

「…店長、商売上手ですね？」

す『それええやん。そうしようや。』

そう言って渋谷さんは品物を見始めた。

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