貴方でした（赤） (ページ16)

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どうして、この人は
私の変わりたいって部分を
当てるんだろう。

ひとみが羨ましかった。

いつでも堂々としていて
自分を出していて、
誰かに媚びず、人の目も気にしないで
自分を持っている。

悪いことは悪い
嫌な事は嫌って
言えるそんな女性だ。

自分とは正反対な女性。

錦戸くんが、本気で好きなら、
錦戸くん、見る目があると思うよ。

「あ…あの…」

私だって変わりたい。

自分に自信を持ちたい。

私は渋谷さんを見た。

強い目で私を見ている。

「ひとみは…腰を抱いて口説けば落ちるほど
軽い女じゃないです。…誠意を持たなきゃ
口説けない…口説いちゃだめな人です。」

錦『は？なんや、おま』

す『黙って聞けや。』

ありがとう。渋谷さん。

「わ、私確かに15分遅れちゃいました。
それは、本当にすみませんでした。
で、で、でも、あんな態度取られたり、
初対面で顔の質をい、言われたり…
そ、そんな事される筋合いありません！」

一度溢れた言葉は止まらず溢れていく。

「確かにみなさん、イケメンですよ。
言われ慣れてるでしょうよ。私だって
テレビとかライブでキャーキャー
言ってましたよ！」

「私は、皆さんに支えられてます！
いつも元気いっぱい貰ってます！！
でも、でも、でも…
皆さんのファンである事を自慢したくても
プライベートで女性を傷つけるような人じゃ
自慢できないです！！

他の頑張ってるメンバがかわいそう！！！」

大『お前に言われたないわ。何やねん。
俺らのファンなん？お前らの理想を
押し付けんなや。』

うっ…さすがに大好きな人から
言われると辛い…。

「…っ。」

言葉を失いかけたとき、
私の手首を握る渋谷さんの手に
力が入った気がした。

負けるな、いけって言われた気がした。

「…理想とかじゃないです。
人としてです。
こんな事してても絶対良いことないです。

絶対絶対絶対！これからみんなに迷惑もかけるし、
大切な人も離れていきますよ。」

私の言葉に2人共無言だった。

怒っているのか、呆れているのか…。

もういいや。
これでファンでいるのも無理になったかな。

渋谷さんを見ると、さっきと同じ
真っ直ぐな目で私を見ていた。

だめ…泣きそう。

「渋谷さん、ありがとうございます。
今日渋谷さんに会えてよかった。」

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