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「いや、Aの場合は俺らが襲われるだろ？」
『襲わないもん！』
「いやいやいや、昔酷かっただろ〜？俺も襲われたし」
『〜〜っ真緒君嫌い！』
「悪い悪い、からかい過ぎた」
と笑いながら私の頭を撫でる
「その子は？」
『あ！初めまして！私プロデュース科1年の朔間Aです！ずっとずっとあんず先輩に会いたかったんですよ〜！』
「貴方が1年生の……よろしくね？」
『はい！よろしくお願いします！！』
あんず先輩めっちゃ美人！
「おっ、これが差し入れか。うまそう、ちょっと食べていい？」
「うん、どうぞ」
『お腹空いてるの？』
「あはは。朝っぱらから授業に生徒会の仕事に『Trickstar』の練習に〜、って感じでろくに食べてないんだよ。腹ペコだよ、ほんと飯つくってくれるだけで助かる♪お互い、『Trickstar』のなかではちょっとビミョ〜な立ち位置だけど……。だからこそ、けっこう仲良くやっていけると思うんだよね。今後ともよろしく、転校生♪」
『私も私も！！』
「うん！」
「もぐもぐもぐっ♪うわぁ、すっごく美味しいよこの……何だろう？名状しがたい何かのカタマリっ、得体が知れないけどンまい！」
「ふつうに差し入れっぽいレモンの蜂蜜漬けや、栄養ドリンクもあるな。このカタマリだけが意味がわからん、食えなくはないが。もぐもぐ。むしろ美味だ」
「あぁ、忍者同好会の仙石が美味しそうなにおいにつられてガーデンテラスにきたんだよ。そんとき、この『何かのカタマリ』のつくりかたを教えてもらったんだ。忍者の非常食、兵糧丸だって。『一粒300kmでござる！』とか、よくわからんことを仙石は言ってたけど」
「仙石……。あぁ、聞いたことがある。あの変な一年生か。よく妙に長いフンドシを巻いて、先っぽが地面につかないように猛ダッシュしてる」
え、フンドシ？猛ダッシュ……？
「そうそう。『忍者同好会』は弱小でな、部費とかいつも困ってるみたいだから。見るに見かねて、俺が生徒会を通してよく仕事を振ったりしてるんだよね。そのことを恩に着てたらしいんだ、仙石のやつ。転校生がつくった大量の差し入れを、ここまで運ぶのも手伝ってくれたんだぞ〜？」
「そうか。世話になったんだな、お礼のひとつも言いたいところだが」
「仙石はシャイなやつだからなぁ、さっさと姿を消しちゃったよ。でも、ちょっと転校生には懐いてたような？Aとも楽しそうに兵糧丸作ってたし」
『忍いい子だよ！』
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作者名：ポン酢 | 作成日時：2021年2月17日 22時
