映えを目指す ページ47
スマホに収めた写真を眺めながら、ふとAの前に別のマロンタルトが置かれていることに気がついたケイト。彼はAの肩をちょんとつついた。
「このタルト、Aちゃんが作ったの?」
「そうなの!おにいさまにもっていくの!」
いつになく上機嫌に今にもスキップしそうな勢いのA。そんな彼女の笑顔とマロンタルトを見たケイトは、彼女の兄であるマレウスがホールケーキを苦手としていたことを思い出したが、この花のような笑顔の前でそんなことを言えるはずもなく、言葉に詰まってしまう。
「そ、そうなんだね。…あっ!Aちゃんが頑張って作ったわけだし、記念として一緒に写真撮ろう!」
手早くスマホのカメラアプリを起動すると、インカメアイコンをタップして、自分の髪型を念入りに確認する。そしてお気に入りの加工やフレームを選ぶとマロンタルトとAと自分が一番美味しく、可愛く、映えるように細心の注意を払ってシャッターボタンを何回か押す。
「うんうん!お昼に撮った時よりも可愛く撮れてるね。あとでマジカメにあげちゃお♪」
「Aもみたい!」
「いいよいいよ!ほら、これがオレで〜、こっちがAちゃん!可愛く映ってるでしょ?」
ケイトのスマホを覗き込んだAは、そこに映る自分やケイト、そしてマロンタルトが実際に見るよりもキラキラと可愛く、その一瞬が切り取られていることに驚いた。
「わ〜〜!キラキラでかわいくて、ケイトもかっこいいね!」
「でしょでしょ〜!Aちゃんは"マジカメ映え"が分かる子だね。」
そう言って、今日一日色んな人に撫でられて少し乱れてしまった髪の毛を優しく整えてあげるケイト。ケイトの繊細な指で撫で付けられるのが気持ち良くて、思わず目を細めてしまう。
A自体は気難しい性格ではないのだが、中々お触りを許してくれない気紛れな猫が懐いたような気持ちになる。そんなケイトは小さく笑うと目を閉じて自分にされるがままのAを自らのスマホの画像フォルダに収めた。
可愛らしく目を細めてゆるゆると破顔するAちゃんは、加工をしてなくて十分映えるなぁ、なんてケイトらしくもないことを考えてスマホの画面を閉じた。
「そういえばそろそろAを送って行かなきゃいけないんだ。A、ケーキを持ってディアソムニア寮に帰ろう」
「うん!おにいさまにケーキとどける!」
トレイが箱にマロンタルトを詰めるとAと手を繋いで厨房を後にした。
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礼(プロフ) - 無名さん» コメントありがとうございます。自己満足の域を出ない私の文章に対してそんな風に言っていただけて嬉しいです。早いもので続編に行きましたので、今後もお暇な時のお供にしていただけたら幸いです。 (2020年5月23日 15時) (レス) id: ede101bd3d (このIDを非表示/違反報告)
無名 - 失礼...ごほん...主様語彙力たっかっっっ?!ディアソムニアの小説少ない中でこんな神作あるの幸運過ぎやしませんかァァっっ?!?!幼女ちゃん可愛い!めっちゃ可愛いっっ!読んでてほわほわするし神作って断言できますっっ私が保証しますっっ (2020年5月23日 4時) (レス) id: d92bf3fc5b (このIDを非表示/違反報告)
礼(プロフ) - アリスさん» コメントありがとうございます。ディアソムニア素敵ですよね。カードが未実装キャラもいるので中々小説見かけませんよね( ; ; )嬉しいお言葉ありがとうございます。更新頑張りますので今後もよろしくお願いいたします。 (2020年5月20日 21時) (レス) id: ede101bd3d (このIDを非表示/違反報告)
礼(プロフ) - 雪猫と葛さん» コメントありがとうございます!主人公ちゃんのことを愛してくれて嬉しい限りです(^-^)今後も少しずつ更新するので読んでいただけたら嬉しいです。 (2020年5月20日 21時) (レス) id: ede101bd3d (このIDを非表示/違反報告)
アリス - ディアソムニア良い…!!!ディアソムニアってまだ本編更新されてないせいか、小説少ないですよね、、、。この小説あって良かった…!!夢主ちゃん可愛いし…!!更新頑張ってください!! (2020年5月17日 22時) (レス) id: a926bdc47b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:礼 | 作成日時:2020年4月26日 7時