秘密のお茶会 ページ44
みんなで剥いた栗を裏ごしして、牛乳やラム酒を加えてマロンペーストを作り終わる頃には、ヘトヘトで腕が悲鳴をあげていた。
「だ〜〜！つっかれた〜！」
「オレ様もう混ぜるの飽きたんだゾ…」
疲れを見せる全員を見遣って、頑張った分美味しくなるよ、と優しく声をかけるトレイ。疲労を滲ませる監督生達とは対照的にまだまだ元気があり余るAは、出来上がったマロンクリームに顔を近づけて、その甘い香りを肺いっぱいに吸い込んでうっとりする。
明らかに作りすぎてしまったマロンペーストを余らせるわけにもいかず、トレイはデュースとユウに追加の生地を作るための材料のおつかいを頼んだ。Aもお使いに行きたがっていたが、リリアからの言伝で"Aをよろしく"と言われたトレイとしては、学園内を不用意に歩き回らせるよりも自分の目が届くところに置いた方が安全だと判断したためである。
「Aにはやってもらいたいことがあるんだ。頼んでもいいか？」
さすが弟妹がいるだけあり、トレイは幼い子の扱いが上手い。何でも自分でやりたがる年頃の心理をよく分かっている。勿論トレイにお願いされたAは上機嫌でAにまかせて！と得意げに笑った。
デュース達がお使いに出たことを確認すると、トレイは少し意地悪そうに口角を上げる。
「頑張ってくれたAちゃんとエースくんにはご褒美だ。余ったタルト生地で焼いたクッキーだ。アイツらには内緒だからな。」
わざとらしく"ちゃん"と"くん"付けして二人を呼んだトレイは、奥から布のかかった皿を取り出して料理台にコトリと載せる。すかさずエースはその近くに木でできた丸椅子を引っ張ると、ドカリと座る。
「Aはなにをすればいいの？」
トレイの制服の裾を握って見上げると彼は笑ってAを抱き上げると、クッキーを三人分それぞれの小皿に取り分けて欲しいと告げる。そしてトレイが布を取り上げると丸く形成された香ばしい香りを放つクッキーが並んでいた。早速エースが食べようと手を伸ばすと小さな紅葉に阻まれる。
「めっ！！」
「ちぇー」
Aが小皿に取り分けるとエースへ、はいどうぞ！とその小皿を手渡す。
「いっただきまーす！…う、うめぇ！」
「それはよかった。」
トレイはエースががっついてペロリと完食する様子を見て笑いをこぼした。ちらりと自分の横でもきゅもきゅと食べるAも幸せそうに顔を綻ばせており、そこには穏やかな時間が流れたのであった。
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礼(プロフ) - 無名さん» コメントありがとうございます。自己満足の域を出ない私の文章に対してそんな風に言っていただけて嬉しいです。早いもので続編に行きましたので、今後もお暇な時のお供にしていただけたら幸いです。 (2020年5月23日 15時) (
レス) id: ede101bd3d (このIDを非表示/違反報告)
無名 - 失礼...ごほん...主様語彙力たっかっっっ？！ディアソムニアの小説少ない中でこんな神作あるの幸運過ぎやしませんかァァっっ？！？！幼女ちゃん可愛い！めっちゃ可愛いっっ！読んでてほわほわするし神作って断言できますっっ私が保証しますっっ (2020年5月23日 4時) (レス) id: d92bf3fc5b (このIDを非表示/違反報告)
礼(プロフ) - アリスさん» コメントありがとうございます。ディアソムニア素敵ですよね。カードが未実装キャラもいるので中々小説見かけませんよね（ ; ; ）嬉しいお言葉ありがとうございます。更新頑張りますので今後もよろしくお願いいたします。 (2020年5月20日 21時) (レス) id: ede101bd3d (このIDを非表示/違反報告)
礼(プロフ) - 雪猫と葛さん» コメントありがとうございます！主人公ちゃんのことを愛してくれて嬉しい限りです(^-^)今後も少しずつ更新するので読んでいただけたら嬉しいです。 (2020年5月20日 21時) (レス) id: ede101bd3d (このIDを非表示/違反報告)
アリス - ディアソムニア良い…！！！ディアソムニアってまだ本編更新されてないせいか、小説少ないですよね、、、。この小説あって良かった…！！夢主ちゃん可愛いし…！！更新頑張ってください！！ (2020年5月17日 22時) (レス) id: a926bdc47b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：礼 | 作成日時：2020年4月26日 7時
