どこまでも無垢 ページ38
悲しい事故の記憶から抜け出せず、あのような気持ちになりたくないとAを縛り付けていることは重々承知している。しかし、踏み出せない。温かい温もりを失いたくない。永く生きていたとて、離別の痛みや哀しみを癒し得る方法は未だに見つからない。
「……A」
そんな諭すような呼びかけにAはキッとリリアを見上げてジタバタし始めた。
「やだやだやだ！！エースたちとケーキつくるの！やーーーだーーーー！！！」
リリア自身もマレウスをお目付役として見守り、人の子であるシルバーを引き取り養育してきた経験がある。しかしこうした"熱烈"なお願いは初経験であるためどうしたものかと頭を悩ます。
その隣で二人の様子をシルバーとセベクはハラハラと見つめる。従者二人は自らが仕える主人の妹君によるお願いを上手く躱す術はないかと思索を巡らす。
そしてリリアは、もはや何も聞き入れない駄々っ子の体制に入ったAに対して、押してダメなら引いてみようと、あえてAを突き放すことにしてみる。
「…ふむ、言うことの聞けないAちゃんとは、わしも一緒にいたくないのぉ。じゃから好きにするがよい。」
「リリア様！？」
「親父殿？！」
さすがにそれは言い過ぎでは？！と珍しく二人の言い分が被った瞬間であったが、リリアも考えがあってのことだ。そんなリリアの冷たい言葉に、吊り上がった目がみるみるうちに涙で満たされてゆるゆるに溶けていく。
「ぅっ、うぅ〜〜どうしてそんなこというのぉ…」
「ほれ、もう好きにしてよいのじゃぞ？"お友達"とケーキを作ってくるがよい。」
リリアのその言葉が決定打となって、涙が決壊して大洪水になる。
「うぅ…リリアのことなんてキ、…キライっ………！うううぅ…やっぱりキライじゃないぃいい……」
そのまま嫌いと言われるのかと思いきや、余りにも斜め上の発言すぎて往年のリリアも席からずっこけるところであった。
心が優しく、純粋なAには嘘でも大好きな人のことを嫌いなどと言うことは出来なかった。相手を傷つける言葉は自分も傷つけるものであると教えられてきたAにとって、リリアのことを"嫌い"と言うことは到底無理なことであった。
そんな可愛らしくて真っ白なAによって完全に毒気を抜かれたリリアは仕方ないといったように溜息をつくと、心の中で白旗をあげた。
そして自分はどこまでもこの娘には甘いのだと再認識させられてしまった。
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礼(プロフ) - 無名さん» コメントありがとうございます。自己満足の域を出ない私の文章に対してそんな風に言っていただけて嬉しいです。早いもので続編に行きましたので、今後もお暇な時のお供にしていただけたら幸いです。 (2020年5月23日 15時) (
レス) id: ede101bd3d (このIDを非表示/違反報告)
無名 - 失礼...ごほん...主様語彙力たっかっっっ？！ディアソムニアの小説少ない中でこんな神作あるの幸運過ぎやしませんかァァっっ？！？！幼女ちゃん可愛い！めっちゃ可愛いっっ！読んでてほわほわするし神作って断言できますっっ私が保証しますっっ (2020年5月23日 4時) (レス) id: d92bf3fc5b (このIDを非表示/違反報告)
礼(プロフ) - アリスさん» コメントありがとうございます。ディアソムニア素敵ですよね。カードが未実装キャラもいるので中々小説見かけませんよね（ ; ; ）嬉しいお言葉ありがとうございます。更新頑張りますので今後もよろしくお願いいたします。 (2020年5月20日 21時) (レス) id: ede101bd3d (このIDを非表示/違反報告)
礼(プロフ) - 雪猫と葛さん» コメントありがとうございます！主人公ちゃんのことを愛してくれて嬉しい限りです(^-^)今後も少しずつ更新するので読んでいただけたら嬉しいです。 (2020年5月20日 21時) (レス) id: ede101bd3d (このIDを非表示/違反報告)
アリス - ディアソムニア良い…！！！ディアソムニアってまだ本編更新されてないせいか、小説少ないですよね、、、。この小説あって良かった…！！夢主ちゃん可愛いし…！！更新頑張ってください！！ (2020年5月17日 22時) (レス) id: a926bdc47b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：礼 | 作成日時：2020年4月26日 7時
