過去 ページ35
およそ普通の姫としてあってはならないドタバタぶりにリリアは苦笑いを浮かべる。しかしそんな元気いっぱいのAがなんだかんだ可愛くて甘やかしてしまうのであるが。そんなことはさておき、何故かセベクを迎えにやる前に戻ってきたAに向き直る。
「そんなに慌ててどうしたのじゃ、A」
「あのねあのね！これからケーキつくるんだって！Aもトレイやエースといっしょにつくりたいの！」
つまりはトレイ達とケーキを作るのでお出かけしてきてもよいかと尋ねに来た、というところだろう。リリアとしては彼らがAに危害を加える気がないとしても危険が全く無いというわけではないと考えている。少し難しい顔をしているリリアを見て、段々と不安になってきたAはリリアが肩から羽織っている制服のブレザーを掴む。
「行っておいで、と言いたいところではあるが…。A、それはダメじゃ」
「なんで…！？」
リリアの行っておいで、という言葉に喜んだのも束の間。返ってきた答えは"ノー"であった。否定の言葉に涙を浮かべ、どうしてと彼の胸を小さな手でポカポカと叩く。大して痛くもないが、顔を俯けて胸を叩く彼女の手を取ると、Aはハッとして顔をあげる。その拍子に零れ落ちる煌めきは魔力を放っているかのように魅力的である。リリアは関係ない思考を追いやるとしっかりとAの目を見て口を開いた。
「A。前に約束したはずじゃ。どこかへ行くときは必ず誰かと一緒だと。…Aは良い子じゃ。覚えておるな？」
とても優しくて心揺さぶられるような、そんな甘い声だった。だが、どうしてもみんなとケーキが作りたかったAはその言葉の意味を知っていながらも、プルプルと首を振った。
「や！！ケーキつくるの！…またおともだちとあそんじゃだめなの？Aだけどうして！？…うあぁああん」
今までAに多くの我慢を強いて、寂しい思いをさせてきたツケが回ってきてしまった、と思うと同時にリリア達には、Aの"また"という言葉にある苦い思い出が蘇り眉を寄せた。
それはAが今より少し幼かった頃のこと。茨の谷の居城には、その裏手に多くの妖精達が住まう清らかな森がある。Aはそこに住む妖精と遊ぶことが楽しくて、よく城を抜け出しては使用人達を困らせていた。しかし、そこは森とはいえ城の敷地内であったこと、幼い姫の足では遠くには行かないと安心しきっていた。
だが、事件は起こってしまった。
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礼(プロフ) - 無名さん» コメントありがとうございます。自己満足の域を出ない私の文章に対してそんな風に言っていただけて嬉しいです。早いもので続編に行きましたので、今後もお暇な時のお供にしていただけたら幸いです。 (2020年5月23日 15時) (
レス) id: ede101bd3d (このIDを非表示/違反報告)
無名 - 失礼...ごほん...主様語彙力たっかっっっ？！ディアソムニアの小説少ない中でこんな神作あるの幸運過ぎやしませんかァァっっ？！？！幼女ちゃん可愛い！めっちゃ可愛いっっ！読んでてほわほわするし神作って断言できますっっ私が保証しますっっ (2020年5月23日 4時) (レス) id: d92bf3fc5b (このIDを非表示/違反報告)
礼(プロフ) - アリスさん» コメントありがとうございます。ディアソムニア素敵ですよね。カードが未実装キャラもいるので中々小説見かけませんよね（ ; ; ）嬉しいお言葉ありがとうございます。更新頑張りますので今後もよろしくお願いいたします。 (2020年5月20日 21時) (レス) id: ede101bd3d (このIDを非表示/違反報告)
礼(プロフ) - 雪猫と葛さん» コメントありがとうございます！主人公ちゃんのことを愛してくれて嬉しい限りです(^-^)今後も少しずつ更新するので読んでいただけたら嬉しいです。 (2020年5月20日 21時) (レス) id: ede101bd3d (このIDを非表示/違反報告)
アリス - ディアソムニア良い…！！！ディアソムニアってまだ本編更新されてないせいか、小説少ないですよね、、、。この小説あって良かった…！！夢主ちゃん可愛いし…！！更新頑張ってください！！ (2020年5月17日 22時) (レス) id: a926bdc47b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：礼 | 作成日時：2020年4月26日 7時
