Magic spell ページ30
監督生ペアとエーデュースコンビの懸命な励ましにより、なんとか泣き止んだAはすっかりご機嫌なご様子である。
「監督生、水を持っているか?」
「ここにあるけど…」
手に持ったボトルに入った水をデュースに手渡す監督生。すると運動着のポケットからハンカチを取り出すとボトルの水をそれにかける。ひたひたになったハンカチを擦り剥いたAの膝に優しく当てる。
「…痛いの痛いの飛んでいけー」
「ブフッ!!!!」
デュースによる棒読みのおまじないの言葉に、隣にいたエースが吹き出す。そんな二人を横目にAは素敵な魔法使いのことをキラキラとした目で見つめる。
「デュース!もういたくない!!すごいわ!」
「よかったね、Aちゃん。」
「うん!」
Aが屈託ない笑顔でデュースにお礼を言うと、少し照れたように笑うデュースは優等生らしい行動を心がけた自分が褒め称えられたようで、くすぐったい気持ちになった。そんなデュースの横でへんちくりんな首輪をつけたエースを見たAはコテンと、首を傾げると口を開いた。
「エースはとってもかわいいのつけてるのね!」
「ブフっ!!!」
Aはエースの首にかけられた赤と黒の首輪を見て、これまた眩しい笑顔を浮かべた。裏を感じさせないその言葉に怒る気力もないが、隣で吹き出したデュースや監督生にグリムのことは絶対に許さないと拳を握りしめた。
そんなことをしていると授業の終わりを告げる鐘が鳴る。三人と一匹に別れを告げるとセベクを探して歩き始める。
「A様ーー!!!途中から姿が見えず、心配しましたっ!!」
「セベクー!」
小さなAを見つけて駆け寄るセベクは、そのAの姿をみて雷を打たれたように固まる。
「A様、膝に怪我が!?若様やリリア様に何と報告すれば?!そんなことよりA様、大丈夫ですか?!」
「セ、セベク?A、もういたくないわ」
「何はともあれ手当てです!!」
Aを素早く抱き上げると医務室へ向かい、手近な椅子にふわりと下ろす。セベクが治療器具を探している間、周りをきょろきょろと見回して、椅子から投げ出した脚をプラプラさせるA。
「…A様、失礼します」
セベクは消毒を済ませると、膝小僧を覆う絆創膏をぺたりと貼り付ける。
「セベクありがとう!」
「A様、無理はなさらないでください…」
眉を下げたセベクはそっとAの白い脛へ口付けた。祈りを込めて。
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礼(プロフ) - 無名さん» コメントありがとうございます。自己満足の域を出ない私の文章に対してそんな風に言っていただけて嬉しいです。早いもので続編に行きましたので、今後もお暇な時のお供にしていただけたら幸いです。 (2020年5月23日 15時) (レス) id: ede101bd3d (このIDを非表示/違反報告)
無名 - 失礼...ごほん...主様語彙力たっかっっっ?!ディアソムニアの小説少ない中でこんな神作あるの幸運過ぎやしませんかァァっっ?!?!幼女ちゃん可愛い!めっちゃ可愛いっっ!読んでてほわほわするし神作って断言できますっっ私が保証しますっっ (2020年5月23日 4時) (レス) id: d92bf3fc5b (このIDを非表示/違反報告)
礼(プロフ) - アリスさん» コメントありがとうございます。ディアソムニア素敵ですよね。カードが未実装キャラもいるので中々小説見かけませんよね( ; ; )嬉しいお言葉ありがとうございます。更新頑張りますので今後もよろしくお願いいたします。 (2020年5月20日 21時) (レス) id: ede101bd3d (このIDを非表示/違反報告)
礼(プロフ) - 雪猫と葛さん» コメントありがとうございます!主人公ちゃんのことを愛してくれて嬉しい限りです(^-^)今後も少しずつ更新するので読んでいただけたら嬉しいです。 (2020年5月20日 21時) (レス) id: ede101bd3d (このIDを非表示/違反報告)
アリス - ディアソムニア良い…!!!ディアソムニアってまだ本編更新されてないせいか、小説少ないですよね、、、。この小説あって良かった…!!夢主ちゃん可愛いし…!!更新頑張ってください!! (2020年5月17日 22時) (レス) id: a926bdc47b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:礼 | 作成日時:2020年4月26日 7時