きゃっちこーるど(3) ページ25
セベクにしがみついて離れないAを見たシルバーはなるべく優しく声をかけた。
「A様、このメロンゼリーを食べられたらすぐに元気になれます。マレウス様も今朝、随分と心配されておりました。」
そんなシルバーの声にちらりと視線を向ける。恨めしそうに甘くて苦いそのゼリーを見つめる。しかしA自身も薬を飲めば元気になれるとわかってはいるのだが、あの独特の苦味を味わなければならないことはやはり嫌なのである。
セベクの肩口に額をぐりぐりして唸り始めた。シルバーはあともう一押しだと心を鬼にして小皿とスプーンを持ち直した。
「ではA様、お薬は飲めなかったとマレウス様にお話してもいいですか？マレウス様も元気になったA様とお会いしたかったと思いますが、しょうがありません…」
シルバー自身もマレウスを引き合いに出してしまうのは卑怯だと思い気が引けたが、これでは埒があかないと判断したのだ。これは事前にリリアから聞いていたのだ。Aがぐずって薬を飲まなかったらマレウスを使えと。
シルバーの意地悪とも取れる言葉をその尖った耳で拾うとバッと振り返る。そしてその緑の瞳に溢れんばかりの涙を溜めてシルバーを睨みつける。睨みつけるといってもシルバーやセベクからすれば、可愛らしい子猫が威嚇をしているようなものでまったく怖くもないものであるが。
「うぅ……」
ついに観念したのか、口を渋々開けてこちらに向ける。
「…あーー…ん。その調子です。」
シルバーとセベクの応援をバックグラウンドにゼリーを口に含むと、目と口をきゅっと閉じていかにもマズいという表情を作る。しかししっかりと飲み込むとゆっくりと目を開ける。
「姫様！偉いです！！大変立派になられて…！！」
「よくできましたね、A様。さぁ、寝ましょう」
セベクがこれ以上ヒートアップする前にさっさとAを寝かしつけて退室するためだ。
「…Aが、ねたら…シルバーと、セベク…いなくならない…？」
ほぼ閉じかけの目をなんとかこらえて、シルバーの制服の裾をきゅっと掴む。後ろ髪を引かれる思いであることはシルバーもセベクも感じてはいるが、寝かせてやらないことには治るものも治らない。
「…大丈夫です。A様が寝てもここにいます。だから安心してお休みください。」
シルバーが優しく頭を撫で、セベクが小さな手を包み込む。どこまでも甘くて優しい二人に見守られながらAは眠りに落ちた。
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礼(プロフ) - 無名さん» コメントありがとうございます。自己満足の域を出ない私の文章に対してそんな風に言っていただけて嬉しいです。早いもので続編に行きましたので、今後もお暇な時のお供にしていただけたら幸いです。 (2020年5月23日 15時) (
レス) id: ede101bd3d (このIDを非表示/違反報告)
無名 - 失礼...ごほん...主様語彙力たっかっっっ？！ディアソムニアの小説少ない中でこんな神作あるの幸運過ぎやしませんかァァっっ？！？！幼女ちゃん可愛い！めっちゃ可愛いっっ！読んでてほわほわするし神作って断言できますっっ私が保証しますっっ (2020年5月23日 4時) (レス) id: d92bf3fc5b (このIDを非表示/違反報告)
礼(プロフ) - アリスさん» コメントありがとうございます。ディアソムニア素敵ですよね。カードが未実装キャラもいるので中々小説見かけませんよね（ ; ; ）嬉しいお言葉ありがとうございます。更新頑張りますので今後もよろしくお願いいたします。 (2020年5月20日 21時) (レス) id: ede101bd3d (このIDを非表示/違反報告)
礼(プロフ) - 雪猫と葛さん» コメントありがとうございます！主人公ちゃんのことを愛してくれて嬉しい限りです(^-^)今後も少しずつ更新するので読んでいただけたら嬉しいです。 (2020年5月20日 21時) (レス) id: ede101bd3d (このIDを非表示/違反報告)
アリス - ディアソムニア良い…！！！ディアソムニアってまだ本編更新されてないせいか、小説少ないですよね、、、。この小説あって良かった…！！夢主ちゃん可愛いし…！！更新頑張ってください！！ (2020年5月17日 22時) (レス) id: a926bdc47b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：礼 | 作成日時：2020年4月26日 7時
