きゃっちこーるど(2) ページ24
セベクにA様が風邪を引いた旨を伝えると、体に触りそうな大きさの声で容態を確認してくるので、シルバーは適当にあしらうことにした。そしてAを抱いて再びマレウスの部屋に戻ってきた彼は、ベッドに彼女を下ろす。辛そうに呼吸を繰り返す胸を覆うようにシーツをかけてやる。
風邪のせいで赤く色づいた頬を手の甲で撫でると、薄く目を開いて掠れた声で呼ぶ。
「ぉにぃ、さま…は？」
「マレウス様は今、授業を受けておられます。ですが、午後には姫様に会いに来てくれますよ。皆心配しておりますから、頑張って治しましょう」
「…ぅん、けほっ…ぅうう…」
小さくも気丈に返事をするAはやはり辛いのだろう、その緑の瞳からポロポロと涙を溢す。そんな彼女の様子を見て、自分が肩代わり出来たら、と思いつつすぐにどうにかしてやれないことに歯痒さを感じるシルバー。…魔法は万能ではない。そんなことを考えながらその涙を拭っていると、薬と消化に良いリゾットを携えたセベクがやって来た。
「A様！お辛いのですか！？！」
ベッド脇のチェストにガシャン！っとかなり雑にお盆を置くと泣きじゃくるAに近づく。
「……セベク、お辛いのは見れば分かるだろう。とりあえずマレウス様とリリア様が来られるまで看病だ。」
「……わかっている」
辛そうに顔を歪めたセベクは息を吐くとリゾットを手に取る。それを見たシルバーは一言声をかけてからAの背に手を入れて抱き起こす。
「A様。これを食べて若様に元気な姿をお見せしましょう！」
こくん、と頷いたAは小さく口を開ける。セベクはすくったリゾットにフーッと息を吹きかけるとその小さな口に優しく近づける。パクリとスプーンを覆うとリゾットをゆっくりと咀嚼して、何回かに分けて辛そうに嚥下する。喉が腫れて痛いのだろう。
何度かそれを繰り返すと7割ほど食べたところでAがプルプルと首を振る。もう食べられないのだろう。セベクは大人しくリゾットをお盆の上に戻すと、お盆の脇に置いてあった小皿にゼリーを出して、そこに粉薬を混ぜる。子供が薬を飲みやすいように、と考えられたものだ。その小皿をシルバーに渡す。
「…A様、もう少し頑張りましょう。この甘いメロンゼリー食べたら元気になれますよ。」
小皿のソレが薬だと知っているAは首を振ってセベクに抱きつく。案の定の反応に二人はどうしたものかと肩を竦めた。
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礼(プロフ) - 無名さん» コメントありがとうございます。自己満足の域を出ない私の文章に対してそんな風に言っていただけて嬉しいです。早いもので続編に行きましたので、今後もお暇な時のお供にしていただけたら幸いです。 (2020年5月23日 15時) (
レス) id: ede101bd3d (このIDを非表示/違反報告)
無名 - 失礼...ごほん...主様語彙力たっかっっっ？！ディアソムニアの小説少ない中でこんな神作あるの幸運過ぎやしませんかァァっっ？！？！幼女ちゃん可愛い！めっちゃ可愛いっっ！読んでてほわほわするし神作って断言できますっっ私が保証しますっっ (2020年5月23日 4時) (レス) id: d92bf3fc5b (このIDを非表示/違反報告)
礼(プロフ) - アリスさん» コメントありがとうございます。ディアソムニア素敵ですよね。カードが未実装キャラもいるので中々小説見かけませんよね（ ; ; ）嬉しいお言葉ありがとうございます。更新頑張りますので今後もよろしくお願いいたします。 (2020年5月20日 21時) (レス) id: ede101bd3d (このIDを非表示/違反報告)
礼(プロフ) - 雪猫と葛さん» コメントありがとうございます！主人公ちゃんのことを愛してくれて嬉しい限りです(^-^)今後も少しずつ更新するので読んでいただけたら嬉しいです。 (2020年5月20日 21時) (レス) id: ede101bd3d (このIDを非表示/違反報告)
アリス - ディアソムニア良い…！！！ディアソムニアってまだ本編更新されてないせいか、小説少ないですよね、、、。この小説あって良かった…！！夢主ちゃん可愛いし…！！更新頑張ってください！！ (2020年5月17日 22時) (レス) id: a926bdc47b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：礼 | 作成日時：2020年4月26日 7時
