午後の終わり(2) ページ22
シルバーがそっと手を離すとそこにはディアソムニア寮を彷彿とさせる緑のリボンが編み込まれていた。Aの艶のある黒髪に緑が映えていてリリアもセベクもほうっと息をついた。
シルバーが手鏡をAに向けると、Aはよく見えるように顔を傾けてみたり編み込み部分に手を当てて嬉しそうにしている。
「とっても可愛いわ!これもたからものにする!」
「今日はたくさん宝物が増えて嬉しいの、Aや。」
「うん!!」
おにいさまにみせてくるー!!と元気よくマレウスの部屋へと走り出したAを危ないですよ、姫様!と注意するセベクの大きな声が談話室に響き渡った。
「おにいさまーーー!」
部屋のノックもそこそこに自室のイスに腰掛けたマレウスに飛びつく。
「A、心配したぞ」
そんなまだまだ目が離せない愛おしい存在を優しく抱き上げる。
「Aもしんぱいしたわ!おにいさまおへやにいないんだもん」
白い頬を膨らませて、ツンとそっぽを向く。可愛らしい妹の反応にその弾力のある頬をつっつく。
「んーー!くすぐったいわ、おにいさま」
「すまない。随分と可愛らしくてな。」
気づけば二人して笑い合う穏やかな時間が流れる。
「おにいさま、見て!リリアがごほうびってくれたの!それでシルバーがむすんでくれたの、かわいい?」
「よく似合っているな。」
「ほんとう?!」
目を輝かせて自分を見つめるAの髪を崩さないように優しく撫でると、Aは気持ちよさそうに目を細める。
「Aね、みんなにナデナデされるのすきだけど、おにいさまにされるのがいちばんすき」
どこでそんな言い回しを覚えてきたんだという無自覚な妹の殺し文句に、マレウスの撫でる手がピタリと止まる。
「…それは光栄だな」
マレウスはふっと笑うと撫でるのを再開した。
一方談話室に残ったリリア達はソファで歓談していた。
「それにしてもAが寮を抜け出して、学園を動き回っておると聞いて驚いたの」
「…はい。姫様に何かあったら…!と考えたら生きた心地がしませんでした…」
セベクが確かめるように胸に手を当てて息を吐く。
「それにしてもオクタヴィネル寮の双子と寮長に気に入られたのは少々厄介です。」
「そう言うでない。同じ学び舎で学ぶ学友であろう?……まあ、Aに何かあれば容赦はせんが、彼奴らもそこまで馬鹿ではなかろう」
リリアは目の前で揺れる燭台の緑炎を眺めて妖しく笑った。
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礼(プロフ) - 無名さん» コメントありがとうございます。自己満足の域を出ない私の文章に対してそんな風に言っていただけて嬉しいです。早いもので続編に行きましたので、今後もお暇な時のお供にしていただけたら幸いです。 (2020年5月23日 15時) (レス) id: ede101bd3d (このIDを非表示/違反報告)
無名 - 失礼...ごほん...主様語彙力たっかっっっ?!ディアソムニアの小説少ない中でこんな神作あるの幸運過ぎやしませんかァァっっ?!?!幼女ちゃん可愛い!めっちゃ可愛いっっ!読んでてほわほわするし神作って断言できますっっ私が保証しますっっ (2020年5月23日 4時) (レス) id: d92bf3fc5b (このIDを非表示/違反報告)
礼(プロフ) - アリスさん» コメントありがとうございます。ディアソムニア素敵ですよね。カードが未実装キャラもいるので中々小説見かけませんよね( ; ; )嬉しいお言葉ありがとうございます。更新頑張りますので今後もよろしくお願いいたします。 (2020年5月20日 21時) (レス) id: ede101bd3d (このIDを非表示/違反報告)
礼(プロフ) - 雪猫と葛さん» コメントありがとうございます!主人公ちゃんのことを愛してくれて嬉しい限りです(^-^)今後も少しずつ更新するので読んでいただけたら嬉しいです。 (2020年5月20日 21時) (レス) id: ede101bd3d (このIDを非表示/違反報告)
アリス - ディアソムニア良い…!!!ディアソムニアってまだ本編更新されてないせいか、小説少ないですよね、、、。この小説あって良かった…!!夢主ちゃん可愛いし…!!更新頑張ってください!! (2020年5月17日 22時) (レス) id: a926bdc47b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:礼 | 作成日時:2020年4月26日 7時