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目を開けるとそこは沢山の真っ黒な棺桶が浮かんでいた。周りのどこに目を向けても棺桶、棺桶、棺桶…。不思議に思いながら立ち上がると真っ黒な何かと青い炎が何か喚きながら、目の前を走り去っていった。


それらの正体が気になったAはその後を懸命に追いかけたのだった。


そうしてたどり着いたのは何冊もの本がふよふよと浮かぶ図書室であった。その追いついた先に見たものは、紐でグルグル巻きにされた猫(?)と黒い制服を身に纏った男の子、そして胡散臭い仮面の男だった。


背後から鳴る靴音に気がついた仮面の男は振り返ると驚き、大袈裟に体を震わせた。


「なんと?!?まだ新入生が…?…しかも女の子…?いやでもここは由緒ある男子校、そしてなんだか見たことのある気がする顔立ち……」


「おじさまとおにいさまはだぁれ?」


小首を傾げて尋ねるAはリリアや家庭教師の言いつけ__相手の名前を聞きたいときは自分から名乗る__を思い出し、慌ててファーストネームを言う。また、ファミリーネームをよく知りもしない相手へ口にしないことを何度も言われていた。それは高貴な身分故、正体を知られて何があるかわからないこと、まだ幼いAのために、とリリアがずっと言い聞かせてきたことだった。


「おじさま…普段なら呼ばれると複雑な気持ちになる言葉も呼ぶ相手が変わると甘美な響きに……コホンッ!私はここ、ナイトレイブンカレッジで学園長をしています、ディア・クロウリーでございます。以後お見知りおきを。」


両手を大振りに広げて自己紹介をする学園長はやや上機嫌だ。もう一人、学生服を着た男の子は膝に手を当てて中腰になる。


「僕はユウ。あまりここのことはよく分かっていないんだけど、よろしく、なのかな……Aちゃん。」


彼は笑顔を浮かべると、ちゃんとお名前言えて偉いな、とAの頭を優しく撫でた。その行動に目を大きく見開いて撫でられた頭に手を当てるA。周りの者たちは褒めそやしてくれても、Aの高貴な身分故、A自身に触れる者はリリアやマレウスくらいしかおらず、初めての行動にこそばゆくなった白い頬が桃色に染まった。


「オレ様はいずれ偉大な魔法士になる、グリム様だ!!!…あとこの紐、ほどくんだゾ〜〜!」


床に転がされたグリムがジタバタするとため息をついた学園長はAの手を取り、ユウに後を着いてくるよう言う。そして3人と引き摺られた一匹は図書室を後にした。

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(プロフ) - 無名さん» コメントありがとうございます。自己満足の域を出ない私の文章に対してそんな風に言っていただけて嬉しいです。早いもので続編に行きましたので、今後もお暇な時のお供にしていただけたら幸いです。 (2020年5月23日 15時) (レス) id: ede101bd3d (このIDを非表示/違反報告)
無名 - 失礼...ごほん...主様語彙力たっかっっっ?!ディアソムニアの小説少ない中でこんな神作あるの幸運過ぎやしませんかァァっっ?!?!幼女ちゃん可愛い!めっちゃ可愛いっっ!読んでてほわほわするし神作って断言できますっっ私が保証しますっっ (2020年5月23日 4時) (レス) id: d92bf3fc5b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - アリスさん» コメントありがとうございます。ディアソムニア素敵ですよね。カードが未実装キャラもいるので中々小説見かけませんよね( ; ; )嬉しいお言葉ありがとうございます。更新頑張りますので今後もよろしくお願いいたします。 (2020年5月20日 21時) (レス) id: ede101bd3d (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 雪猫と葛さん» コメントありがとうございます!主人公ちゃんのことを愛してくれて嬉しい限りです(^-^)今後も少しずつ更新するので読んでいただけたら嬉しいです。 (2020年5月20日 21時) (レス) id: ede101bd3d (このIDを非表示/違反報告)
アリス - ディアソムニア良い…!!!ディアソムニアってまだ本編更新されてないせいか、小説少ないですよね、、、。この小説あって良かった…!!夢主ちゃん可愛いし…!!更新頑張ってください!! (2020年5月17日 22時) (レス) id: a926bdc47b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年4月26日 7時

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