出会い ページ1
優しい父と母に囲まれた箱入り娘。今や没落した名家にとっての生命線は御三家との強い繋がりを持つことであった。その為に彼女__土御門(つちみかど)家の一人娘、Aはより強い子を残すべく五条家嫡男__五条悟__との婚姻が決められていた。
遥か昔、朝廷に仕えた公家としてその名を馳せた土御門家だが、現在となってはその権勢も衰え、代々女子にだけ受け継がれる莫大な呪力を持て余すのみだった。その膨大な呪力と五条悟の持ち合わせた六眼と無下限呪術が交わることでより強い子孫を残すことが呪術界の繁栄に繋がると確信する"上"は、二人の婚姻をAがこの世に生まれ落ちた時点で即座にその決定を下した。
そんな二人の顔合わせは物心がついて幾許かの時分_____Aが六歳、悟が七歳のころ_____であった。
「…ごじょうさま、つちみかどAと申します。よろしくお願いいたします」
「………」
優しい母が珍しく私に粗相のないように、と何度も何度も言い聞かせられた口上を辿々しく並べる。最後に鏡の前で練習した笑顔を添えて。完璧にできた。そう思ったのに目の前の悟様は新雪のような白で縁取られたガラス玉を歪めてぽつりと呟いた。
「お前、人形みたいで気持ち悪い」
「………」
そんなことを言われたのは生まれてこのかた初めての体験で悲しみや怒りよりも驚きが勝ってしまい、大きな目を見開いて、ポカンと口を開けてしまった。おおよそ幼いとはいえ婚約者の前でして良い表情ではない。隣の両親は悟の態度に青ざめたが、悟の母親がふわふわの天辺をぱしりと叩いた。
「いてぇ！…なにすんだよ！！」
「お前が生涯を共にする子です。…優しくなさい」
「は〜〜！？」
やや涙目で頭を抑えるとそっぽを向いて唇を尖らせる。ふとAの方に振り返ると、悟に向けた最敬礼から中途半端に面をあげた体勢のままでこちらを見上げていた。先程までの決められた所作、作られた表情ではなく、その小さく開いた口が少女然としていて悟からすればそちらのほうが何倍も好ましかった。
じっと婚約者である悟に見つめられたAはどうして良いか分からず内心首を傾げる。そして吸い込まれそうな空を閉じ込めた瞳に、ほうっと息を吐いた。すると突然立ち上がった悟がずんずんと近づいてくると畳についていたAの手を取ると、お見合いの為に誂えられた豪奢な調度品の並んだ和室を後にした。
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みるたそ - 礼さん» 早速リクエストさせていただきます！病院の窓から見える世界はきっと夢主の知らない物ばかりなので、あれは何？あれは？と五条さんに聞く夢主と、それを優しく答えてあげて甘やかす五条さんのお話を見てみたいです！ (2021年3月7日 14時) (
レス) id: 2548faf38b (このIDを非表示/違反報告)
礼(プロフ) - みるたそさん» ご覧になったんですね〜ありがとうございます。はい！お気軽にどうぞ(^^) (2021年3月6日 23時) (レス) id: ede101bd3d (このIDを非表示/違反報告)
みるたそ - お知らせ見ましたー！リクエスト可能ということですかね(＞＜) (2021年3月6日 18時) (レス) id: 2548faf38b (このIDを非表示/違反報告)
礼(プロフ) - みるたそさん» コメントありがとうございます。主人公のことを愛らしいと言ってくれてありがとうございます（ ; ; ）人を選ぶ主人公ではありますが、そう言って頂けることが励みになります。重ねて感謝です！ (2021年3月6日 0時) (レス) id: ede101bd3d (このIDを非表示/違反報告)
礼(プロフ) - 瑠璃さん» お返事遅れて申し訳ないです。コメントありがとうございます！私好みの女の子とわちゃわちゃする五条さんが見たくて書き始めたのでそう言っていただけて感無量です。二人の今後を見守ってくださると嬉しいです(>_<) (2021年3月5日 23時) (レス) id: ede101bd3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：礼 | 作成日時：2021年2月1日 0時
