甘いバニラが溶ける前に second【平野紫耀】

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電車に乗って渋谷へとやって来た私たち。



変装をしてても何人かに声をかけられるきょーちゃん

を見ると、紫耀くんもこうなんだろうな

と思うと なんだか少し胸がチクッとするけど


アイドルという職業の彼だし

いちいち嫉妬なんてしてたら私の身が持たないと

と、あきらめの気持ちがやってくる。



空は晴れてるのになんだか気分はお天気雨。



心の中にある葛藤が今日の楽しい日を邪魔している。




響矢「どうした？」


『ううん、なんでもない』


響矢「そう？なんかあるから俺は聞いたんだけど。
まぁ、いいや。」


『...分かってんね、』


響矢「当たり前よ。何年の仲だと思ってんのさ」


『はいはい』



そんなこんなで渋谷に着き

あの有名な某デパートで洋服を探す。



響矢「これとかどう？」


『んーーー、普段だったらいいんだけど
今日の場合なんか、違うっていうか...』


響矢「そっか、」



あちこち探しては持ってきてくれるきょーちゃんに

なんだか申し訳なくなってきた時

きょーちゃんが持ってきてくれた

セットの洋服が目に止まった。



黒のカットソーにワンポイントで赤のバラが入っていて下はハイウエストパンツ。


なんだか普通の格好だけど、

何か特別なものを感じた。



なんか、忘れてるような...



響矢「これ良くない？！」


『え、私も凄い思った！』


響矢「お買い上げ〜」


『えっ！？』



きょーちゃんはその服をもってレジに並んでいく。



慌てて追いかけると

「大事な人の大事な時なんだから、」

と、私が払うことを拒否。



今日はとりあえず甘えることにした。



いつかきょーちゃんに彼女ができた時に

私がきょーちゃんの欲しがるような服買ってあげよ。

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