おじゃま虫【岸優太】 (ページ29)

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▽友情。ページ29

✿

今日は楓の様子がいつもと違う。

雰囲気が凄く暗いし

なんだか私避けられてる気がするし。

『楓、次いど「私ちょっと用事あるから先行ってていいよ」うん、』

なんか、こんな調子。

なんか私嫌なことしちゃった？

私、楓に嫌われたらどうしよう...

私が泣きそうになりながら

1人で廊下を歩いていると、たまたま岸と会った。

「A先輩！」

『あぁ、岸か』

「先輩...ちょっと俺とサボりません？」

岸ってバカっていうか天然だけど

こういうところ、しっかり気づいてくれるんだよね...

そして、その気遣いがとても今の私には嬉しい。

正直今も泣きそうだし...

どうせなら甘えさせてもらおう。

『うん。サボろ、』

「屋上行きません？」

『えっ？空いてなくない？』

「ちょっと着いてきてください」

そう言われて岸について行くと

屋上への扉は鍵がかかっていなかった。

外に出れば

春から夏へと変わることを知らせるような

暖かい柔らかな風が私の髪を靡かせた。

「屋上気持ちいいっすね！」

『そうね』

網に体をよっかからせて

2人で横に並んで話をする。

『なんか、前にもこんな感じの合ったよね笑』

「あの、昔の話したときっすね！」

やっぱり岸と話すと、自然に笑ってる。

それになんだか落ち着く...

気づけば私の目から涙がこぼれ落ちていた。