キンモクセイの咲くころに (ページ2)

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02. ページ2

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紫耀は、小学5年生の秋に私のクラスに転入してきた。

先生｢では、挨拶をお願いします｣

紫耀｢名古屋から来ました、よろしく！あ、平野紫耀です、よろしく！｣(礼)

バラバラバラッッ

ランドセルの荷物が全部飛び出すという古典的な失敗や、顔に作ってた大きな傷、あまり馴染みの無い発音の話し方をしたことなど、実によく覚えている。

先生｢平野くん、今日は隣りの華村さんに教科書見せてもらってね｣

小学生にとって突然現れた転入生は、まるでヒーローのようで瞬く間に人気者になれる。
また、そんな転入生に恋する人も多いわけで……

私が紫耀に教科書を見せたことを、よく思ってない女子も何人かいた。

紫耀｢お前ら何してるん？そういうん、ダサくね？
次、コイツになんかしたら俺が許さへんからな｣

スカートに付いた砂を払っていると、紫耀が顔を覗かせた。

紫耀｢大丈夫？｣

間近で紫耀を見たのは、これが初めてだった。

あまり男子と絡みのない私は、恥ずかしくて何も言わずにその場を去った。

紫耀｢なぁ！これに懲りず、仲良くしてな？
俺がお前守ったるし！！！｣

背後から聞こえる声を無視し、無我夢中で走った。

足を止めたのは家の近所の公園で、
ほのかにキンモクセイの匂いがしていた。

あの頃から

私の恋は始まった

*