5話 ページ5
「あ……ありがとう、ございます……！あぁ……これで……安心して逝ける……ありがとう……神に近し者よ……」
その瞬間アルラウネは光の粒となって消えた
寿命をギリギリまで伸ばしてたのだろう
心残りが無くなったことで枷が取れた。それで光に……
「………俺に任せておけ。一度は神に近づいたんだ、立派にしてみてる。そこで見ていろ」
俺は宣言した
すごく短い付き合いだったがお世話になった精霊へと告げる
「ん……がうっ！？」
「……目が覚めたか」
そして数刻後初対面を果たす
「ぐるるぅぅぅう！！」
「アルラウネを探しているのか………悪いな。彼女は死んだんだ……」
「………くぅん……」
人語が理解できるのか、いないことに寂しさを覚えたのか狼の目ではない人間の目からポロポロと涙が流れる
「嫌かもしれない……しかしアルラウネに託されたんだ」
そろそろと少女に向かって手を伸ばす
触れるか触れないかまで近づいたところで目を赤く変え噛み付いてきた
「っ………」
「ぅぅぅうううう！！」
「俺はお前を傷つけることは俺の生命とアルラウネに誓って無い。ただ……いや……そうだな。お前に触れたいんだ」
「………？」
少しは興味を持ってくれたみたいか？
家族、という単語を聞いて噛む力を弱め歯を抜いた
「俺はな……神になれなかったんだ。お前は人間になれなかった
なれなかったもの同士、仲良くしようぜ」
「………かうっ！」
全く、まだ子供なのだろうな
最初は怒り、泣き、癇癪を起こし、今では少ししか意味がわかってないはずなのに喜んでいる
だが……悪くない
「かうっ！！」
「宜しくな………名前はあるのか？」
フルフルと首を振る
月狼は知能魔物ではあるがかなり低ランクだから名前の文化はなかったのだろう
「なら………」
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作者名：ヨル | 作成日時：2022年1月22日 15時
