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女の膝が崩れるやいなや、山本は地に足を着け、倒れる女を受け止めた。

 「か弱い女の子に密着して、自分を運ばせるなんて。まだ若いねぇ、陣内」

 「からかわないでください、組頭。それに、か弱いって……」

 包帯の男―雑渡昆奈門―の後ろから童顔の男―諸泉尊奈門―が顔を出した。

 「どうしたんです? その娘」

 「いや、合戦場で不覚にも毒矢を受けてな。流れたものだったから、偵察には気付かれていないが、意識が飛んでしまって。この娘が処置して、走ってくれたおかげで、戦火は逃れたが……」

 雑渡の右目が女を舐めるように視線を走らせた。

 「何処に向かってたんだろうねぇ。この先はオオマガトキ領内だ」

 「ええ。組頭が矢羽根で小頭にそのまま寝てろなんて仰ったので、オオマガトキに売るのかと思いましたよ」

 「もう少し早く来てくださっても良かったのでは?」

 「んー。面白かったから、ちょっと見てた。それに陣内背負って走ってんのに、全然隙が無かったんだよ、この娘」

 山本が抱く女を、雑渡が腕に掬い取った。

 「ふふっ、軽いねぇ。腕なんかも折れそうじゃない。……でも、この娘…………忍だね」

 「え、でも持ち物にはそれらしいものは何も……」

 「尊奈門も若いなぁ? 合戦場からここまではそこそこ距離がある。それを男を担いでここまで同じ速さで走り続けていた。更に周囲を常に警戒し、こちらに動きがあればわらじに仕込んだ棒手裏剣で先制攻撃でもするつもりだったのかな?」

 諸泉がわらじを脱がせると、編目の隙間に仕込みがあった。

 「それにしても軽装では? 合戦場に近づく格好ではありません」

 「ね? 面白いだろう? ってことで連れて帰ろうと思うんだけど」

 「また犬猫を飼うように言うんだから……」

 「私は構いませんよ」

 「お、陣内。話がわかるねぇ」

 「まあ、このまま置いていてはオオマガトキに捕らえられるか、獣の餌です。一応、命の恩人なので……。それに怪しい者を野放しにはできませんから」

 「じゃあ、尊奈門。はい、連れてきてね」

 「えー、私ですかぁ? まあ、いいですけど……って! 置いてかないでくださいよぉ!」

 3人の忍は道の無い木々の狭間に身を滑り込ませ、消え去った。

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スイちゃんのご友人のご友人 - 更新待機 面白かったです (2023年2月3日 1時) (レス) @page7 id: 5ad601e96f (このIDを非表示/違反報告)
水無月弥生(プロフ) - 更新楽しみにしています!これからも頑張ってください。 (2020年4月4日 19時) (レス) id: 9fe8b56f99 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:十夜 | 作成日時:2020年3月24日 23時

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