検索窓
今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:8,160 hit

ページ2

Aは体力の続く限り走った。小袖の裾を払い、路面の悪い森の中を駆ける。大人の男を背負い、何度も足をくじきそうになりながらも、一心不乱にタソガレドキ城下を目指した。

 速度を落とすわけにはいかなかった。何者かの気配がずっと二人をつけていたのだ。味方か敵か。Aが気づいたときからずっと、何をする訳でもなく、ただ等しい距離を保っている。振り返っても姿は見えない。

 (……忍か)

 不気味な気配に注意を払いつつ、走り続けると、小川が見えてきた。タソガレドキ領内は目の前だ。

 この時、Aはほんの一瞬気が緩んだ。気配が背後に迫ったことに気付いたときには、既に遅かった。一瞬の隙をつかれ、正面から首をギリギリと絞められる。

 「ッぐぁ……!」

 抵抗したいが、相手の目的が分からないまま、背中の男を落とすわけにはいかない。足は踏まれて動かない。霞む目に何とか捉えたのは、

 包帯を巻いた独眼の大男。

 「……くッ、お前は…………!」


 「……曲者だよ」

 Aは意識を手放した。

参→←壱



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (30 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
51人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

スイちゃんのご友人のご友人 - 更新待機 面白かったです (2023年2月3日 1時) (レス) @page7 id: 5ad601e96f (このIDを非表示/違反報告)
水無月弥生(プロフ) - 更新楽しみにしています!これからも頑張ってください。 (2020年4月4日 19時) (レス) id: 9fe8b56f99 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:十夜 | 作成日時:2020年3月24日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。