短編 鬼滅の刃

冨岡先生と補習 ページ10

「暑いよーーーっ」
「文句言う前にペンを走らせろ。」

私達が職員室を溜まり場として使っていた理由がクーラー。

この教室にはそれがついていなくて、
小さい扇風機が両サイドから
ぶおんぶおんと音をたてて風を送るのみ。

たまに開け放った窓から心地良い風が入ってくるかな…

そんな中、
スパルタ教師で有名な冨岡先生と二人だけ。

他の皆は？と聞くと眉間に皺を寄せながら彼方を見てた。
さてはボイコットだな？

「先生ー…職員室行こうよー」
「……」
「無視しないでー」
「煩い」

ぴしゃっと一言で黙らされてしまった。
私がオアシスへ向かうにはこの出された課題をこなさなければならないって事ですね…

ちぇーと言いながらカリカリとシャーペンを走らせる。

………あ、この問題わからない。
大分悩んでいると、腕をツウ、と汗が伝った。暑いな…

ふ、と顔の横の影に気付くと
冨岡先生が私のプリントを後ろから覗き込んでいた

「せんっ……！」
「この問題の解き方は、」

びっくりしすぎてガタついたのに
冨岡先生は静かに問題の解き方を教えてくれる
私が聞いて無かったのに気づくと、眉間に皺を寄せて
私の手からペンを奪い、プリントに直接解説を書き始める

それも、私の体と机を挟んでやるものだから
体を縮こませて高鳴る心臓を抑えるので精一杯だ

「………聞いてるか？」
「す、みま、せ……っ」

体が震えて
声を絞り出すのもやっとの事で、
頭になんか入ってこない。

先生、スパルタ過ぎます…！

「………」
カタ、と私のペンを机に置いて
冨岡先生は私の前の席の椅子を引き摺って
私の向かい側に座った。

「……解いてみろ」
「あっ…」

じっ、と見られたままプリントと直面する。
冨岡先生の字で書かれた方程式を見て、
なんとか問題を解く

「……うん、合ってる。」

安堵して息を吐くと、冨岡先生がプリントを回収してしまう

「あっ、先生、まだ全部終わってないですよ？」
「続きは明日で良い。明日は他の生徒も来るから。」

ん？明日もあるの？
今日はみんな来ないのに？
と疑問だらけに思っていると、
「近くのコンビニでアイス奢る。」って冨岡先生の一言に全部吹っ飛んだ。

「アイス!先生ありがとう、神様みたい!!!」
「行くぞ」
「はーい！」

急いでカバンに筆記用具を詰め込んで、先生の後ろを歩いた。


*****

Aを廊下で待たせて荷物を纏める冨岡先生に向かって、
「職権乱用て言葉知ってるゥ？」と
宇随先生が言ったのは内緒の話。

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